ラブライブ!スーパースター!! 考察 第6話「夢見ていた」 ~想いがひとつになる時~
皆さん、今日もスパスタしてますか?
「ラブライブ!スーパースター!!を観る」というのが「スパスタする」という動詞になって日常会話で使われている事でしょうね。
さて、第6話は前回の記事でもある程度予想した通り、非常にエモい回となりました。
なにがエモいかというのはネタバレになるのでここでは詳しく書けませんが、やはり第6話は主人公かのんの幼馴染、嵐千砂都をメインとした回になりました。
というわけで本記事では当然、嵐千砂都を軸にし、更には構図で見せるキャラの心理描写も今回は巧みでしたので、そういったものを紹介しながら考察を進めていきます。
※ここから先はラブライブ!スーパースター!!第6話のネタバレを含みます。まだ本編を視聴していない、またはネタバレが嫌だという人は決して見てはいけません。マジで責任は取りませんので、悪しからず。
※基本的にこの考察はただのおっさんの妄想です。ひとりのラブライバーの解釈であり、これが「正解」であるなどと言うつもりは全くございません。あくまで、妄想・ジョークの類として受け取って頂ければ幸いです。
⊡ 守られる存在だった千砂都
冒頭のシーン。いきなりラブライブ史上初めてのイジメっ子が登場し、わけわからん縄張り意識を発揮して千砂都をイジメています。
ラブライブは基本的には優しい人たちばかりが出てくるので、このイジメっ子たちに面をくらった視聴者も多いのではないでしょうか。かく言う私も、このシーンは何というか、ちょっとびっくりしました。
イジメっ子は千砂都の髪留めを奪おうとします。この髪留めは当然、第5話でかのんが千砂都にあげた髪留めですね。
泣いてばかりでどうすることも出来ない千砂都。そこに、颯爽とかのんが登場します。
この記事の後半で説明しますが、上のカットは非常に重要なので覚えておいてください。ここではひとまず置いておきます。
子供のころからどうやら強気な性格だったらしいかのん。「ちーちゃんの大事なものを返しなさいよ!」と髪留めの奪取に成功し、イジメっ子たちを追い払います(殴ってもよかったんやで)。
イジメっ子たちの報復を恐れる千砂都。しかしかのんは「大丈夫、ちーちゃんの事は私が守るから。困ったら私を呼んで」と笑顔で返します。
しかし、それに対しての千砂都はどこか浮かない表情です。
千砂都「私はこの時思った。『このままじゃ嫌だ』って。いつか、かのんちゃんを助けられるようになりたい。いつか必ず」
モノローグでこう語る千砂都。子供の頃の千砂都は、かのんに守られる存在であったというわけです。しかし、それは対等な立場とは言えないでしょう。こういった力関係は下手をすると主従関係にも繋がり、幼馴染としては良くない人間関係のバランスだとも言えます。そういったことを踏まえての千砂都の表情であり、モノローグでもあるわけですね。
⊡ すみれと可可 描かれ続ける2人の欠点
神津島で2日目を迎えた一向は、いよいよ本格的な練習に挑みます。ところがすみれは「髪をセットするのに30分かかる」という理由で練習に遅れることを堂々と申告します。
「バカね。例え練習であっても、身だしなみは命。それがショウビジネスに生きる者の運命(さだめ)」
言ってることはまあ、わからなくもないですが、この無駄なプロ意識が後々に本人にとっての足枷になると筆者は踏んでいます。というのも、皆さんご存じの通り後に嵐千砂都、葉月恋という本物の実力者が同好会に加入します。たしかにすみれはダンスの腕前はそこそこのようですが、果たして前述した2人ほどの実力でしょうか。今のところ、すみれのショウビジネスの経験は、必ずしも良い意味で同好会の力になっているとは言えないでしょう。
さて、第4話から何かとすみれが高飛車を見せると、決まって可可が対比として描かれています。
このブログでは何回か言及していますが、可可はやる気だけは一人前ですが、実力や体力面ではハッキリ言ってメンバーの足を引っ張っています。この練習でも、早々と体力が尽きて、メンバーだけでなくサニーパッションの練習も中断させてしまっています。
細かい時間経過のほどはわかりませんが、この休憩時間は前述したすみれの30分といった短い時間ではないでしょう。全員が基本的には優しいので、今はまだなんとなく可愛い感じで見れていますが、この致命的なまでの体力の無さは後に可可だけでなく、メンバーにとっても大きな障害となりそうです。
とは言え、後述しますが(長くなりすぎるのでしませんでした)可可にもちゃんとメンバーに大きく貢献できるところはあるのです。
⊡ 未だに見えない学校との「結びつき」
練習もそこそこに切り上げて、一同はライブをするステージを見に行きます。正直この場所にこのステージはかなり無理があるだろと初見で思いました。
すみれ「立派ね」
悠奈「学校のみんなと作ってるんだ」
かのん「学校のみんなと……」
「学校のみんな」というところに反応するかのん。さらに悠奈はこう続けます。
悠奈「島って住んでいる人の数が限られてるから、スクールアイドルをする私たちが中心になって"学校のみんなと一緒に"島を盛り上げていこうって」
かのん「島のため……」
悠奈「"誰かのため"って思うと、不思議と力が湧くんだよね」
悠奈の言葉に何か思うところがあるかのん。
少し時間を早送りして、夕飯時。かのんと悠奈の会話を見てみましょう。
まだ作詞中のかのん。例のごとく、ヨガのポーズでインスピレーションを得ようとします。悠奈もそれを真似ようとしているわけですが、それにしてもシリーズを通してここまで距離感の近いライバルキャラはいませんでしたね。
話が脱線しかけましたが、かのんは先ほどの悠奈の言葉をずっと考えていたようです。
かのん「島の為に頑張ると、すごく力が湧くって」
悠奈「あぁ~」
かのん「想像していたんです。自分たちがもしそうだったら、どんな気持ちなんだろうなって」
悠奈「君たちは、学校のためにやってるわけじゃないの?」
かのん「はい、学校には活動に反対してるひともいて、なかなか……。スクールアイドルじゃなければ応援してくれるっていうんですけど……」
何か切ない会話だなあと思うのは、やはりスクールアイドル同好会が現時点で学校の全面的なサポートを受けていないからでしょう。それだけではなく、いまのところかのん達にはスクールアイドル活動をするための目的がありません。スパスタに対して良くも悪くもふわっとした印象を受ける人もいると思いますが、その理由のひとつがこれです。
前作「ラブライブ!」そして「ラブライブ!サンシャイン!!」では主人公たちが学校の廃校を阻止することを目標にスクールアイドル活動をしていました。Aqoursに関しては、はっきりと本編で明言はされませんでしたが、地元沼津を盛り上げようという裏テーマのようなものも存在しました。それはまさに今のサニーパッションも同じで、サニパは島を盛り上げるために、学校の協力を全面的に受けています。一方の現Liellaは、スクールアイドルをするための明確な目標がありません。「何のためにスクールアイドルをするのか」というサニパにあって自分たちにないものに気付いてしまったかのんは、戸惑ってしまうわけです。
しかし、そこは優しい世界。悠奈はこう続けます。
悠奈「まぁ、何かの為じゃないからといって、スクールアイドルを続けちゃいけないわけじゃないし。歌うのが好きだからって子もたくさんいるよ」
この、「歌うのが好きだから(スクールアイドルをする)って子」はまさにかのんの事を指しているわけです。もちろん悠奈はかのんの歌に対する思い入れなどは知らないのですが、この悠奈の言葉にかのんは元気づけられます。
あと、どうでもいいですが京極監督のライバルキャラはA-RISEといい、ちょっと優しすぎませんかね? Saint Snowみたいにビシバシ来た方が興奮するというか……
⊡ 千砂都の想い
満月が出ているからと、一同は満月を見に外へ。この完璧なまでに丸い満月は、恐らく丸いもの好きな千砂都のメタファーでしょう。
当然、丸いものが好きな千砂都はこの満月を見ているわけで、かのんに写真を送っています。
歌詞が出来たかのんは、早速千砂都にその歌詞を見せてこう言います。
「なんかね、わたし、色んな人の力になりたいって。みんなの為に歌いたいって思ってて」
もちろん、幼い頃にイジメっ子から助けてもらった千砂都は、かのんが人の為に行動できる事をしっています。「知ってるよ」とでも言わんばかりに、千砂都は「うん」とだけうなずきます。
千砂都「あのね、大会が終わったら……」
と言い、千砂都は「やっぱり何でもない」と出しかけた言葉を飲んでしまいます。
この千砂都との会話を受け、かのんは悠奈に何かお願いをします。
⊡ 嵐千砂都と葉月恋
さて、時間は前後してしまいますが、千砂都の練習シーン。
久しぶりに葉月恋が登場します。このシーンで筆者が気になったのは、葉月恋の千砂都に対する口調です。
千砂都を見るなり、恋は「練習?」と言います。いつもの恋なら「練習ですか?」と丁寧な口調になるのですが、千砂都に対しては若干砕けた口ぶりになっています。これだけで色んなことが連想できます。
まず、恋と千砂都は同じ音楽科といえ、普通ならあまり接点のない二人です。この二人を繋ぐものは、もちろんかのん及び、彼女が所属するスクールアイドル同好会の存在です。
そして、恋の千砂都に対するこの口調。ここから連想できるのは、恋が千砂都を媒介にして結構な頻度で同好会を気にかけていたということです。故に恋は千砂都と接触する機会が多かったので、自然と親しくなっていたのでしょう。
演技1つでここまでの情報を視聴者に入れるのは流石です。
このシーンをきっかけに、後に千砂都のかのんへの想いが明かされるわけですが、その時の葉月恋のポンコツっぷりは是非、本編で20回は観てください笑。
⊡ スクールアイドルをしない理由
さらに時間は流れ、恐らく別日の音楽科の練習室。千砂都はかのんの髪留めを身に付けます。
ちょっとこのカットに注目してください。髪留めをつけようとして、何か考えるかのようにほんの一瞬制止しています。
このカットだけで、今千砂都がどのような状態なのかというのがわかってしまいます。
この視聴者から向かって左にだけ髪留めをしていない状況は、冒頭のイジメっ子に髪留めを奪われた幼い千砂都と同じ状態です。
回想シーンなどは挟まれませんでしたが、この時千砂都は幼い時のかのんとのことを思い出していたはずです。つまり、この時の千砂都は昔イジメられっ子だった時と同じような弱い状態であり、かのんの助けを必要としているわけです。ちょっとした幼児退行とも言えるでしょう。
かなりわかりにくいですが、これが後の伏線になっています。
そして、葉月恋が前述したポンコツっぷりを発揮し、千砂都から退会届の真意が聞かされます。
控えめに言ってかわいい
千砂都「大会で優勝できなかったら、ここ(結衣ヶ丘)を辞めるつもり。決めたんだ」
恋「そんな……」
千砂都「海外で修行するのも悪くないなーって」
恋「どうして?」
千砂都「かのんちゃんの力になれないから」
かのんの力になれないなら、ここでダンスを続けていても意味が無いという千砂都。「すみません、私には意味が……」と恋が視聴者の声を代弁してくれます。
千砂都は昔の自分は気が弱いうえに体力もなく、いつも何かに怯えていたと過去を振り返ります。そんな自分を助けてくれたのが、かのんだったと語ります。
「かのんちゃんは、色んなことを教えてくれた。前に進む大切さだったり、新しい事を見つける楽しさだったり。だからいつか、かのんちゃんの横に立てる人になりたくて」
そう語る千砂都ですが、「それがダンスとどういう関係が?」と恋。前回では明らかにされなかった疑問を恋が代弁してくれています。
「始めたのは、かのんちゃんがきっかけ。かのんちゃんの力になるには、今の自分じゃダメだって。かのんちゃんの出来ない事を”ひとりで”出来るようにならなきゃって」
「ひとりで結果を出して、自分に自信を持てるようになりたい。それまでは、かのんちゃんと一緒に何かをやるのは止めようって」
ようやく、千砂都が同好会に加入しない理由が明らかになりました。この理由を聞いて前作サンシャイン!!の桜内梨子を思い出した方も多いのではないでしょうか。サンシャインきっての名エピソード「友情ヨーソロー」で、梨子はAqoursに加入するも、自分がピアノへの想いを断ち切れていないことに気付きます。そんな梨子の想いに気付いた千歌が、ラブライブよりもピアノのコンクールを優先することを梨子に勧めました。
スパスタでの千砂都は、「梨子がピアノに向き合った状態でAqoursに加入したら」という、IF展開だともとれるわけです。
「ダンスで結果が出たら、どうするのですか?」
恋は千砂都に問いかけます。すると、笑顔で千砂都はこう答えます。
「そんなの決まってるよ」
⊡ 変わらない友情 千砂都とかのん
「もうすぐ本番」とスマホでかのんにメッセージを送る千砂都ですが、かなり不安げな表情です。
メッセージを送って、すぐにかのんから返信が来ます。
「ごめんね」
「気がつかなくて」
千砂都がこのメッセージを確認して間もなく、なんとかのんが千砂都に駆け寄ってきます。
昨夜の電話でかのんは千砂都の様子にようやく気付き、千砂都の元までやってきた、というわけですが、これまた上のカットに注目してください。幼い頃に千砂都がイジメられていた時に、かのんが助けに来たカットと構図が同じになっています。
並べてみるとよくわかります。
これは、先ほどの左だけしていない髪留めから現れる千砂都の不安状態の伏線回収です。つまり、あれは「かのんが助けに来る」という暗示でもあったわけです。
かのんは、千砂都に電話で伝えられなかった千砂都への想いを語ります。
「わたしが伝えたかったのは、ひとつだけ。わたし、いつもちーちゃんのこと尊敬してる。真面目に頑張って、少しダメでも、めげたり落ち込んだりしないし。だから……」
しかし千砂都は、握ったかのんの手を離して言います。
「やっぱり駄目だな……。ひとりで頑張らないといけないのに。自分に自信持てるまで、かのんちゃんがいないところで、ひとりでやろうと思ったのに……」
「かのんちゃんが来てくれたとき、やっぱりホッとしちゃった」
「かのんちゃんは悪くないよ。悪いのは弱いわたし。かのんちゃんに頼らないって、今日ここで、かのんちゃんの出来ないことを出来る自分になるんだって」
「こう見えてわたし、負けず嫌いなんだ……」
涙を潤ませながら千砂都が言うと、かのんは笑顔で応えます。
「だったら私も思ってた。ちーちゃんに助けてもらってばっかりだって。歌えなかったとき、失敗したとき、いつもちーちゃんが助けてくれた」
そして、かのんは千砂都への秘めた想いを語ります。
「二人とも、頑張ってきた。お互いがお互いをみて、お互いを大切に想って。わたしね、あの時本当に感激したの。全身が震えた」
かのんが言うあの時とは、千砂都が幼少時に「かのんが出来ない事を出来るようになる」と宣言した時でした。かのんはこの宣言で、千砂都を見習い、一層歌への想いを強くしたことを明かします。千砂都にとっては、あれは弱い自分への決別宣言だったわけですが、図らずしもかのんへの応援となっていたわけです。
追記:
---------------------------------------
Twitterで情報がありましたが、二人の気持ちを窓枠で表しているとありました。
かのんが駆けつけた時にはまだ二人の気持ちには溝があります。それを表すかのように二人の間に窓枠が。千砂都の表情が暗い事からもわかりますね。
かのんが千砂都への想いを語った後には、二人は同じ窓枠に入っています。まさに二人の気持ちが同じ枠に入ったという事でしょう。こういうことをさりげなくやってくるのが憎いですねえ。
-----------------------------------------
そして、千砂都の悩みは解決します。それを表すように、曇っていた背景が晴れはじめ、明るい光が差しています。
そして、千砂都は転科届を提出します。そこには「スクールアイドル活動に専念するため」と書かれています。理事長の手には、結衣ヶ丘の校内新聞的なものもあり、そこには「嵐千砂都優勝!!」とあります。きちんと優勝することで、千砂都はダンス活動に一区切りをつけたわけです。
そして、迎えた神津島でのライブ。千砂都が加入し、ライブ前に千砂都はこう言います。
「わたしね、ずっと夢見ていた気がする。こういう日が来ることを」
この後のライブシーン、「常夏☆サンシャイン」は超可愛いので、是非本編で30回は観てください。
というわけで、もうかなりの長さになってしまったので、今回はこれで〆ます。
色々と書いてない事はありますが、また別の機会で勘弁してください笑。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!
それでは次回、第7話「決戦!生徒会長選」でお会いしましょう。
さよ~なら~。