スクールアイドル研究所

ラブライブシリーズのアニメ考察がメインです。考察という名の妄想ですが……

ラブライブ!スーパースター!!第7話 考察 「決戦!生徒会長選」~「星」になった花~

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皆さんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

時間の流れは早く、気付けば8月は終わり9月。地域によっては雨も降り、なんだかちょっと寂しく暗い気持ちになるという人も多くなって来たのではないでしょうか

 

そんな皆さんの気持ちと時間の流れに合わせるかのように、スパスタの世界も新学期に入り、新事実が明らかになるにつれ、徐々に重い雰囲気になってきました。

 

第7話ではいよいよ葉月恋の過去とその想いが、少しずつですが明らかになってきました。それと同時に、筆者が散々強調し続けていた学校の重要性と、その学校内でのヒエラルキーがいよいよ物語を語る上で無視できなくなってしまいました

 

葉月恋と結衣ヶ丘女子高等学校、その結びつきを軸にして、今回は考察を進めていきたいと思います

※ここから先はラブライブ!スーパースター!!第7話のネタバレを含みます。まだ本編を視聴していない、またはネタバレが嫌だという人は決して見てはいけません。マジで責任は取りませんので、悪しからず。

※基本的にこの考察はただのおっさんの妄想です。ひとりのラブライバーの解釈であり、これが「正解」であるなどと言うつもりは全くございません。あくまで、妄想・ジョークの類として受け取って頂ければ幸いです。

 

 

⊡ 葉月恋の母親「葉月ハナ」

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犬と遊ぶ幼少時代の恋。その傍らには彼女の母親、葉月ハナの姿が。今まで名前だけが出ていましたが、短い映像ながらもようやくその姿を確認することができました。

 

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何かを語りかけている葉月ハナ。しかし、その声は我々視聴者には届かず、何を言ったのかを知る術はありません。

後述しますが、この回想シーン(というべきか)は筆者的にはあるイメージが纏わりついて仕方がありませんでした。

 

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時は流れ現在。恋が決意したような表情で掲示物を掲げます。そのプリントには「生徒会発足のお知らせ」とあります。なんとなく恋が生徒会的な役割を果たしていたので失念してしまいそうですが、結衣ヶ丘はあくまで新設校。生徒会も生徒会長も公式には決まっていなかったのでした。

 

⊡ 生徒会長選挙

 

クーカーの登校中、ダレている可可に「シャキッとしなさい!」と喝を入れるのは千砂都です。千砂都の姿に何か違和感を覚える2人。

 

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「これからは前よりもみっちりダンスの練習するんだから、疲れてる場合じゃないよ!」

 

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「うぃっーーっす!」と、元気よく恒例の挨拶をする千砂都。その姿は音楽科の制服ではなく、普通科の制服を纏っています。別記事にも書きましたが、もちろん視聴者はOPやEDの映像でこの展開は知っているわけですが、かのんや可可からしたら仰天ものというわけですね。

 

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オーバーリアクション

 

 

「本当は退学して普通科を受け直そうと思ったんだけど、理事長先生が転科を許可してくれるって」

 

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さらっと言いましたが、前回のダンス大会で結果がどっちに転ぼうが元々退学届を提出する予定だったようです。登場時のスパルタなセリフといい、普通科に転科する決断といい、可愛い顔をしてかなりの剛気を見せるキャラクターです。

 

どうして普通科に転科したのかとかのんに聞かれると、「これからはかのんちゃん達と同じ目標に向かって頑張りたいと思って」と言います。それが何故普通科に転科しなければいけない理由になるのか、個人的にはあまりスッキリとはしませんが、兎にも角にも千砂都はかのんたちと同じ環境と立場でスクールアイドル活動をすることにしたようです。

 

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何やら人だかりが出来ているのは、冒頭に葉月恋がプリントを掲示した掲示板前。生徒会長の立候補者を募り、複数いる場合は生徒会長選をする流れになるとのこと

 

これを聞いて、早速可可は生徒会長にかのんを推薦することを企てます。生徒会選で葉月恋が生徒会長に選ばれてしまっては、反スクールアイドルの姿勢を貫いてきた彼女にスクールアイドル活動を極端に制限されることを危惧したのです。

 

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選挙にあたってのたすきとSNSアカウントまで作り、相変わらず行動力だけはずば抜けていると言えます。

 

ところがかのんは乗り気ではありません。逃げるように部室に篭ってしまいます。

 

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「かのんちゃん、とりあえず話そう。話せばわかるから」

と諭すのはなんと千砂都。今回の件に関しては、千砂都も可可と同意見なのです。物語初期から現実的な視点でかのんを支えてきた千砂都。千砂都が加担することで、生徒会長選で葉月恋を倒すということがどうやらギャグではないらしいと視聴者も気づくはずです

 

「それに、生徒会長は普通科の生徒がなった方がいいって声も多いんだよ」

 

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これまたさりげなく放り投げられたセリフですが、このセリフから少なくとも普通科の生徒は結衣ヶ丘にある学科間でのパワーバランスを気にしている、もしくは不満を抱いているという見方もできます。生徒会長選はそのバランスを普通科に傾ける絶好の機会というわけです。

 

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徹底的に抵抗するかのん。その姿を見兼ねてか、すみれが代わりに立候補することを提案しますが、可可と千砂都は文字通り見向きもしません

 

「ドチラシャマデシュカ?」

「知ってるでしょ!!」

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「あれ?えーっと、す……す……なんとかさん」

「すみれったらすみれよ!す・み・れ!!」

 

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と、2人は半分冗談なのかそれとも本気なのか、すみれの存在を知らなかったかのように振る舞います。これもなんだかギャグのように見えますが、見ようによってはメンバーの結束力の弱さとも取れます。これについても後述します。

 

やる気のすみれを尻目に2人は冷ややかな目ですが、自身の立候補を止めたいかのんはすみれに味方をします

 

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「すみれちゃん、ありがとう。全力で応援するから!」

 

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これが百合ってやつですか?

 

すみれはうっとりしていますが、可可と千砂都は残念そうな表情。若干(かなり)の不安を抱えつつも、平安名すみれが立候補することになってしまいました

 

音楽科の生徒は普通科の生徒が生徒会長に立候補することを聞きつけ、心配そうに恋にその旨を報告します。

 

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モブ子A「選挙になっちゃうけど、大丈夫かな?」

モブ子B「普通科の方が(生徒が)多いし……」

恋「仕方ないです。それに、必ずしも普通科の生徒が普通科の候補者を応援するとは限りません。頑張るしかないです」

 

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と、選挙選にかなりの自信を見せる恋。

さて、この一連のセリフからも分かる通り、音楽科の生徒は音楽科の生徒で、学校内で普通科よりも優位に立ちたいという思惑があるということです

 

立候補の用紙を提出し、それを受け取る理事長。その表情は若干険しいです。ため息をひとつ漏らし、こう切り出します。

 

「本当に立候補するのですか?」

「はい」

 

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そう強くうなずく恋。理事長の雰囲気から、恋が立候補し、生徒会長になったらマズイ事情が何かあるのだとわかります。それが何なのかは、残念ながらわかりません。

 

 

生徒会長選に向けてPVを作る一向。しかし、そこは持ってない女、平安名すみれ。撮影中にもかかわらず、生徒が横切ります。その圧倒的な存在感の無さから、すみれが立候補者である限り、もう生徒会長選は負けたも同然だとここら辺で視聴者も分かるはずです

 

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やる気も覇気もなくスマホのカメラをチェックする可可。

「やはり可可はかのんが……」

 

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もちろん後に続くのは「かのんが(立候補した方がいい)」という意味だとは思いますが、それ以上にちょっと発想を飛ばしてみましょう。

 

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冒頭の登校シーン、可可の神津島での活躍に対して、かのんはねぎらいの言葉をかけます。それに対しての可可の表情にはちょっとした感動を見せていると伺えます。さらに、今回の生徒会長選で、可可はかのんに異常とも見える執着を見せ、一方ですみれには見向きもしませんこれだけを見ると、可可はメンバーが増えたにも関わらず、かのんしか見ていないとも取れるのです

 

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(すみれではなくかのんを撮っていた可可。個人的な感想としては、いくらなんでもすみれが可哀そうじゃないかと思いました)

 

ともすれば、可可は現在の同好会を第3話クーカーの延長としかみていないのかも知れません。そこらへんの是非については、今後の展開で明らかになっていくでしょう

 

候補者の募集が締め切られ、正式に候補者が恋とすみれになりました。加えて恋は創立者の娘だとも強調されます。いよいよ持って、メンバーも視聴者も、すみれでは敗戦色が濃厚であるという雰囲気になります

 

「あ、でも。葉月さんも磐石ってわけではないらしいよ」

 

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と、千砂都。ここで千砂都から気になる情報がもたらされます。

 

「実際音楽科では、クラス委員でみんなを纏めてるし人気もあるんだけど、普通科をちょっと下に見てるんじゃないかって噂もあって……

さらにさらに、視聴者は思いがけずすみれから大変重要な情報を知らされます。

「それよ! 普通科の生徒は本学科の3倍! それをこっちに持って来れれば……。いえっへっへっへ……!」

 

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本当にさらっと、結衣ヶ丘の学校としての実情が明かされていきます。普通科の生徒は音楽科の生徒に比べて、なんと3倍も生徒数が多いということが明らかになりました。つまりこの選挙は普通科の生徒の得票をいかに獲得するかで勝敗が分かれ、音楽科の肩を持ってしまえば明らかに不利になるわけです。そう考えると、先程の音楽科の生徒たちの不安もわかります。

 

俄然すみれが有利かと思われた矢先、恋の公約が発表されます

 

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「わたくし葉月恋は、普通科と音楽科が手を取り合う学校を目指し、この秋の学園祭を共に盛り上げていくことを約束します」

公約を読み上げるかのん。そこにわかりやすいように普通科の生徒全員を代弁するかのようなモブ子(かわいい)が通りがかります。

「葉月さんって、音楽科のことばかり考えてるって噂だったけど、結構私たちのことも考えてくれてるんだね」

 

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さすがは優等生の葉月恋は、普通科と音楽科の生徒数の違いについて対策をしていないわけがありませんでした。公約できっちりと普通科の生徒も支持してくれるような政策を入れていました。いよいよ、メンバーは諦めムードです。

 

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ここで可可の妄想が始まりますが、スクスタのストーリーを見た人はこの一連の妄想シーンを純粋にギャグとして見れなかったのではないでしょうか。良く言えばオマージュですが、スクスタの詳細はここで書くことは控えさせていただくとして、別の視点からこの妄想を見ていきましょう。

 

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可可の妄想の中では、同好会は監視されていて謎の施設にて活動をひっそりと行なっているようですが、このときドアを開ける合言葉は「クーカー」でした強引なのは承知ですが、こういうちょっとした所からも、可可は「クーカー」を引きずっているという見方ができてしまいます

 

妄想はとりあえず置いておき、千砂都が当然の疑問を投げかけます。

「でも、どうしてあそこまでスクールアイドルを毛嫌いするんだろう?」

 

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「ちーちゃんもわからないの?」

「うん、音楽科では殆どその話したことないし」

そう、葉月恋はスクールアイドルだけを異様に問題視していますが、何故そうなのかという理由は頑なに話してくれません。そのことについて、かのんは何か思うところがある様子

 

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すみれは圧倒的不利な状況を覆そうと、たこ焼きを生徒たちに配って票を集めるというなんとも安直かつ愚かな作戦に出ました

 

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(誰がこの移動販売車をここまで運転したのでしょうか……)

 

可可「でも、これはよろしくないのでは?」

千砂都「どうだろう……?ギリギリセーフ?」

理事長「アウトです」

 

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当然の如くこれは賄賂に当たる行為になりますのでアウトになります(笑)

 

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画してすみれは圧倒的な不人気に加えて理事長からのマイナス票までもらい、恋の101票に対して−20票という色々と有り得ない大差で負けてしまいました

こうして、生徒会長選の勝敗はあっさりと決してしまったのです

 

しかし、かのんと千砂都は「やはり生徒会長は恋で良かったような気がする」と、どこか納得した様子。「すみれがダメってわけではない」というフォローも入れつつ、こう続けます。

 

「ただ、学校全体のことを考えたり、色々と決めていったりしなきゃいけない事を考えると……」

 

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そう、スクールアイドルの件はありますが、これはあくまで学校と生徒達の方針を決める生徒会長選。そもそも、殆どの生徒達にとってかのんやすみれのスクールアイドル活動は、学校生活においてなんの関係もありません。こういうことを考えると、すみれが負けるのは当然の帰結だったと言っても過言ではありません

 

こうして、生徒会長選は葉月恋の大勝で早々に幕を閉じたかのように見えましたが、この結果がとんでもない大波乱を結衣ヶ丘に引き起こしてしまいます

 

⊡ 渡れない橋

 

とはいえ、スクールアイドル同好会にとっては、部存続の死活問題です。かのんは、恋と改めて対話をしてみることを決めます。

 

「わからないけど、でもきっと何か理由がある気がするんだ」

 

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変わって理事長室。恋と理事長が対峙しています。2話の考察で理事長と葉月恋は同じ立場だと筆者は書きましたが、こうしてみるとこの2人の方こそ対立しているようにも見えます

 

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「どうするつもりですか?」

「その前に、来年の入学希望者の数を教えてください」

「生徒会長として……」

ここで意味ありげに母親のカットが入ります。

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「いえ、創立者の娘として、知る権利があります」

 

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この会話で筆者が気になったのは2点。まず、理事長の「どうするつもりですか?」という質問ですが、どういう意味で恋に「どうするつもり」と言っているのでしょうか。詳しくは分かりませんが、少なくとも生徒会長になったというのに、理事長はどうも恋を歓迎したり祝福するようなムードでないことはわかります

 

もう一つは当然、恋が来年の入学希望者数を知りたがっていることですここで、ラブライバーが嫌でも連想するのは、「学校廃校問題」という今までのラブライブシリーズにあって、今までのスパスタになかった要素です。恋が廃校問題に取り掛かるために生徒会長になった、というのはわかりますが、理事長の恋に対する厳しい態度がわかりません。それに、「新設校なのに廃校になるのか!?」と、想像できることが多すぎて正直少し戸惑ってしまいます。

 

理事長室で恋を待ち伏せしていたかのん。

「ちょっといいかな?」

 

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その両手にあるのは「アップルティー」と「いちごみるく」。

飲み物を渡す気遣いは見事でしたが、かのんは「アップルティー」を恋に渡すという悪手を選んでしまいます。(そりゃ悪手じゃろ かのん子)

 

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何故これを筆者が悪手と断言できるのか、テレビアニメを見ているだけではわからないので解説しますが、葉月恋の好きなものは「いちご」なのです別メデイアを見てみると、そのいちごへの愛着っぷりがよくわかります。いちごのスイーツを買うために練習を抜け出す口実まで作り出すほどです。彼女はよっぽどいちごが好きなのです

 

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(そしてこの表情である)

 

ここからわかることは、「かのんは(好きな食べ物さえまだ知らないぐらい)葉月恋を理解していない」という物理的な事実と、「かのんはまだ葉月恋を(メタファーとして)理解できない」ということです。これは流石にアニメを観ているだけではわかりませんね。

 

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「葉月さん前に言ってたよね。スクールアイドルじゃなきゃ、応援するって。私たちのことが嫌いとか、意地悪したいってことじゃないんでしょ?」

 

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恋からはまだ、敵意の表情は消えません。構わずかのんは続けます。

 

「理由が知りたいんだ。それがわかれば、私たちも何か方法がないか、考えられるから。葉月さんは受け入れられないのかもしれないけど、スクールアイドルはやっぱり悪いものじゃないって思うから」

 

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「別に何もありません」

「ただ、学校のためにはスクールアイドルは無い方がいい。それが私の考えです」

このカットを見て欲しいのですが、かのんと恋の間には小さな橋があります

 

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なんだか意味ありげなので、このカットの意味をちょっと考えてみましょう。両者がその気になれば、その小さな橋を渡り、その間にある溝を越えることが出来ます。かのんは恋にその橋を渡って欲しいかのようにその場に立ち尽くしますが、恋は振り返ることなく去ってしまいます

その前の水辺のカットでは、その波紋や恋の髪の靡き方から、風が恋から向かってかのんへと吹いていることがわかります。

筆者はこの風を、恋のかのんに対する心理的な、文字通りの風当たりだと見ています。

 

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この2つのシーンからわかるのは、「まだ両者はわかりあう事ができない」ということではないでしょうか。

 

「『学校のためには』って、どういう意味?」

かのんは恋が去った後に、ぽつりと呟きます。

そうです。繰り返しますが、未だに恋がスクールアイドル活動を禁止することが何故学校のためになるのかがわかりません。先に言っておくと、この第7話ではわからないままなので、それは次回以降に持ち越しと言う形になるでしょう。

 

⊡ 過熱する普通科と音楽科の対立 

 

正式に生徒会長に就任した恋。全校集会にて挨拶とその決意を語ります。

「私は、この結衣ヶ丘女子を地域に根ざし、途切れることなく続いていく学校にするために、誠心誠意努力する所存です。そのために……」

 

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ある箇所を読もうとして固まってしまう、恋。不安げに下唇を噛み、手も若干震えています。どうしたのだろうと、生徒達もざわつきはじめます。

 

「そのために」

「最初の学園祭は、音楽科をメインに行うことと決定しました」

 

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そのあまりに音楽科贔屓の発表に、動揺を隠せない生徒達。明らかな不満の声が、普通科の生徒達から聞こえてきます。BGMも、今までのラブライブでは無かった、不穏なものが流れています。

 

「完全な公約違反だよね」

「そうだよ。みんな学園祭楽しみにして、クラスの出し物とか考えてたのに」

「隣のクラスが、抗議の署名集めるって」

「おお、協力する協力する」

 

学校中、特に普通科の校舎からは不穏な空気が流れます。反・音楽科というより、反・葉月恋といった様子です。そんな中、選挙に負けたすみれが、生徒達にこう提言します。

 

「クーっくっくっくっく。抗議より手っ取り早い方法があるわ。『リコール』よ!

「リコール?」

 

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「そう! 成立すれば公約違反で現生徒会長は解任。そしてやり直しの選挙の末に、このわたしがー」

「かのんが生徒会長に!!」

 

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と、可可がうまいこと割り込み、普通科の生徒達からかのんの立候補が期待されるようになりました。どうやらかのんは普通科の生徒の間からは割と評判のいい生徒のようです。

 

「けど、本当にそのくらいしないとダメかもしれない」

 

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厳しい目つきで千砂都が言います。やはり千砂都が言うと、どこか真剣さが違います。

 

「デスデス! 公約を破るくらいですから、放っておいたら『スクールアイドルも禁止』って言ってくるに違いないデス」

「うぁーん……確かにそんな気もするけど、それにしても何か理由がある気がするんだよねぇ」

「でも、昨日聞いても教えてくれなかったんでしょ?」

「それは……」

 

という会話の流れから、恋を尾行することになった一同。

 

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すみれの時といい、もはや尾行はかのんの特技となりつつあります笑

 

⊡ 100%ギャグではないう〇ち帽子

さて、ここで少しこのう○ちについて語りたいと思います。というのも、ある視点で観ればこれはまるっきりギャグというわけではないからです

 

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このうん○は皆さんご存知のように、元々はラブライブ!においてμ's達の動向を探るために矢澤にこが行っていた扮装で、一種のファンサービスというわけです

 

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(すみれのう〇ちの元ネタ。大き目のサングラスも含めて、完璧なセルフオマージュ)

 

なぜう○ちの形状をしているかというのは完全なギャグだと見ていいですが、筆者が語りたいのは勿論○んちそのものの形状ではなく、にこ、すみれの装飾物の大きさです。にこまで語ると長くなるので、今回はすみれに絞ってお話しします。

アニメでのアクセサリーは視聴者が思っているよりキャラクターを表している場合が多いです。特に、大きなアクセサリー、装飾品を纏っているキャラクターは、自意識や承認欲求が非常に強いキャラクターである場合が多いですそのキャラクターに共通する想いは、大抵「私のことを見て」という欲求だったりします

 

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思い出して欲しいのは、第5話、神津島ですみれは割とでかい帽子にサングラスといった出で立ちでした。風にさらわれて、奇跡的にすみれの元に戻ってくるというのが印象的でしたが、あれもひとつの見方として、「強い自意識を結局手放せなかった」というメタファーとも取れるわけです

そして、今回のう○ち帽子もそういった自意識をギャグとして具現化しているわけですが、悲しいことに真正面に立ってもすみれは恋に気づかれる事はありませんでした

 

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「私の事を見て欲しい」欲求を持っているすみれにしてみれば、とても悲しい事です。こう考えると、あんまりギャグとしてゲラゲラ笑うシーンでもないということがわかります。以上、どうでもいい話でした。

 

⊡ 逃れられないマクガフィン

 

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少し話がそれましたが、尾行の末に一同は恋の自宅と思わしき豪邸へと辿り着きます。インターホンを押して、結衣ヶ丘の生徒である事を伝えると、メイドにあっさりと中に入れてもらえました。

 

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冒頭で登場した犬が巨大になって再登場します。キャラクターデザインを担当している室田雄平先生によると、この犬はサンシャイン!!の「しいたけ」と同じ犬種なのだとか。犬といえば、物語で意外な意味を持っていたりということがありますが、流石に今回はそこまで踏み入った話はしません。興味のある方は以下、魂さんのブログ記事を参照してみてください。

 

ishidamashii.hatenablog.com

 

この大型犬になぜか追っかけられることになった一同。ちなみに、犬は逃げると追っかけてくる習性があるそうなのです。はい、これもどうでもいいですね。

 

結果的に屋敷の中を走り回ることになったかのん達。この屋敷の異常に気付きます。これだけ広い屋敷にも関わらず、人の姿を全く見なかったのです

 

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辿り着いた部屋の先にはアルバムが。何気なくとって見てみると、そこにはかつての結衣ヶ丘女子(神宮音楽学校)の生徒達と思われる写真がありました

このアルバムで確認できるのは皆普通科の制服を着ており、音楽科の制服を着ているものはいませんでしたつまり、かつての神宮音楽学校に音楽科と普通科という区別はなかった、ということでしょうか

 

すると恋と先程のメイドとの会話が聞こえ、ふと耳を澄ますかのん達。

「いけません!」

「本当に今までありがとう。この御恩は、一生忘れません」

「いいえ、受け取れません」

 

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恋の手には茶封筒が。セリフから、このメイドの給与だとわかります。

「お願い。来月からはあなたを雇っておけるお金も無いのです」

「必要ありません。私は、この葉月家に仕えているだけで……」

「そういうわけにはいきません。あなたのような人をタダ働きさせたら、それこそ亡くなったお母様に怒られてしまいます」

 

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ここで、衝撃の事実が明らかになりましたそう、葉月恋の母親、葉月ハナはもうこの世にいないのです。後述しますが、実を言うと伏線はありました。ひとまず先に進めます。

 

「しかし、それではお嬢様は本当に一人きりに……」

「平気ですよ。私には、チビがいますから」

 

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中略

「あなたがここに来たのは、まだチビが生まれたばかりの頃でしたよね。あの頃はお父様がいて、お母様も元気で、皆仲が良くて……家の中はいつも賑やかで」

「お嬢様……」

「悲観しているのではありませんよ。私には、まだお母様が遺してくれた結衣ヶ丘がありますから」

 

ここでチビがかのん達に気付き、タックルをかまします。おかげでかのん達が盗み聞きをしたことがバレてしまいます。思いがけず恋の秘密を知ってしまった一行。しかし、更に衝撃の事実が恋から告げられます

 

「ひとりって、どう言うこと?お金がないって……」

「そのままの意味です。この家に残っているのは私ひとり。お金もありません。このままでは学校を運営していくことも」

 

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「母が遺してくれた学校を続けるためには、私が頑張るしかないのです」

 

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ここに来て、ようやく物語上のマクガフィン(動機付け)が出てきました。そうです。かのん達にはスクールアイドルをする明確な動機がありませんでしたが、ここにきてラブライブの伝統となってしまった「学校廃校問題」が出てきました

しかし、この問題が出てしまっても疑問が残ります。と言うのも、前作サンシャイン!!では生徒達がスクールアイドル活動をしたところで、入学希望者が増えることに繋がらないという、ラブライブの物語(μ's神話)の根本的な矛盾を暴いてしまいました。以下、例によって魂さん(Love Live! Aftertalk!)の参考記事です。

 

ishidamashii.hatenablog.com

 

つまり、今更学校が廃校になるという事実が明らかになったところで、それをスクールアイドル活動とどう結びつけるのか、という課題が見えてきます。これはちょっと私には想像がつきません。しれっと「スクールアイドル活動をしてラブライブで優勝すれば、入学希望者も増えるよ!」とか言い出すかもしれませんが、個人的にはそうならないことを祈っています。

 

最後に、チラッと言いましたが恋の母親が死んでいたことは、実をいうと筆者は割と早い段階で確信していました

 

まずひとつに、「葉月ハナ」という固有名詞が出ているにも関わらず、その母親は姿を見せませんでした。ラブライブシリーズを全て観ているライバーならご存じですが、母親に固有名詞が付くのは今回が初めてです。それだけ特殊な扱いを受けているにも関わらず、その姿を本編中で確認できないのは不自然なのです

 

そして、ふたつめ。こちらが致命的でした。これは伏線というよりは誤植に近い感じですが、こちらの書籍の恋の紹介文に「母が『遺』した学校」と記されていました

 

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そして、最後に今回の第7話での冒頭の回想シーンは、あきらかに天国をイメージしたかのようなカラーリングと後光の差し方でした

 

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というわけで、筆者は恋の母が亡くなっているだろうなあとは思いましたが、そんな悲しい事実をブログで自慢げに披露する気には、あまりなれませんでした。

 

というわけで、文字数も1万字を超えてしまったので笑、今回はここまでです。

 

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!

次回、第8話「結ばれる想い」で、また会いましょう!