ラブライブ!スーパースター!! 考察 第10話「チェケラッ!!」~プロ意識の高い少女が出会った アマチュアな最高の仲間たち~
アニガサキ2期の放送日が決まりましたね!!(唐突)
はい、というわけで、まだスパスタが終わらないのにアニガサキの発表でウキウキしている私です。
スパスタもこの10話を入れると残り3話(全12話らしいです)なので、気合をより一層入れないといけないですね。スパスタが終わったらこのブログで何を書こうかと思っていましたが、アニガサキ1期の今更考察なんかをやろうかなあ、と思っております。
そんなことよりスパスタです。第10話「チェケラッ!!」はその気の抜けたタイトルからギャグ回などの箸休め的な展開を、私を含めた多くの皆さんが予想していたかと思いますが、とんでもない神回となっていました。
個人的には今までのスパスタのエピソードの中でも一番心が動いた話でした。
というわけで、筆者の心が冷めやらぬうちに考察をしていきます。
※ここから先はラブライブ!スーパースター!!第10話のネタバレを含みます。まだ本編を視聴していない、またはネタバレが嫌だという人は決して見てはいけません。マジで責任は取りませんので、悪しからず。
※基本的にこの考察はただのおっさんの妄想です。ひとりのラブライバーの解釈であり、これが「正解」であるなどと言うつもりは全くございません。あくまで、妄想・ジョークの類として受け取って頂ければ幸いです。
- ⊡ 進化する大会「ラブライブ」
- ⊡ 憧れのセンターという背水の陣
- ⊡ 「選ばれた」すみれ
- ⊡ すみれと可可
- ⊡ 万能ゆえの弱点
- ⊡ 勝たなければいけない
- ⊡ 真ん中で輝くティアラ
- ⊡ Check It Out!!
⊡ 進化する大会「ラブライブ」
いよいよ出場校が決まり、そのエントリー数から非常に厳しい展開が予想されるラブライブの予選。これはもう恒例となっていますが、ラブライブ!→サンシャイン→スーパースター!!と、シリーズを追うごとにその出場校の数は増える一方です。
あまりにも多くなり過ぎた出場校を厳選するために、地区大会の前に出場校を篩にかけるのではないかという噂もあると言う可可。
「その真偽を確かめるためには行ってみるしかない」と、とりあえず地区大会の説明会に赴くLiella。
これまたシリーズ恒例となっている「メガネのお姉さん」。このお姉さんがラブライブ!から出ているお姉さんと同一人物かは不明です。それを追うことは、そこまで重要ではないと考えているので、筆者としてはスルーさせていただきます。
「今年は出場校が多く、全てのグループに歌ってもらうのは困難と判断したため」という前置きがあり、「各地区ごとに歌に課題をつけることにし、出された課題を歌に盛り込んで大会で披露してもらうことにした」との発表がありました。アメリカンアイドル(と言って解る人がいるのかどうか)みたいな感じですね。これは今までのラブライブには無かった要素なので、ラブライブは回を重ねるごとに進化していると言えるでしょう。
「ここ東京南西地区は渋谷を含む流行の最先端地区! という~ことで~!!課題は~こちらっっ!!」
と、盛大に発表された課題は「ラップ」。お題がジャンル特化しすぎてどうなのかと筆者は思いましたが、ラブライブは整合性重視のアニメではないので、まぁまぁ良いでしょう。
早速かのんがラップにトライしますが、「なかなか言葉が出てこない」と苦戦します。筆者はラップにそこまで詳しいわけではありませんが、ラップはただ単に早口で言葉を捲し立てれば良いというものではなく、「歌詞がちゃんと韻を踏んでいるか」なども非常に重要視される音楽です。やってみろと言われて急に出来るものではありません。
続いて、ダンスのジャンルとして経験したことがあると言う千砂都が挑戦します。この狭い部室の中でなんとパワームーブの「ウィンドミル」をあっさり決めてしまう千砂都。「千砂都はラップよりはダンスに集中して他のグループと差をつけた方が良い」と提案する恋。この動きを見ればそれもより一層説得力を増します。
恋がラップに挑戦します。かのんの「韻を踏んで思いついた言葉をそのまま出せばいい」という助言を鵜呑みにした結果、和歌を詠んでしまう恋。ちゃんと韻を踏んでいたようですが、当然リズムも何もかも違うのでボツに。
そして可可ですが、ラップ自体は問題なく出来るようでしたが、まだまだ日本語でのラップは難しいらしく、どうしても中国語になってしまうようです。というか「ラップ」をすることが重要であり、それが日本語かどうかは問われていないので、個人的にはアリだと思います。R3BIRTHとかいうユニットもいますしね。
というわけで、自然と残ったのはすみれになります。最初から「ポテンシャルが低いから任せられない」と決めつけてしまう可可をよそに、すみれは見事なラップを披露します。
HEY YO!
お見知りおきに自己紹介でも
結衣女のみんなにしとこうかい
私の名前は平安名すみれ
AB型の神社の娘
HEY!
「フン! これでも小さいころからショウビジネスの世界で場数は踏んでいるの。アドリブだったら負けないわ」
⊡ 憧れのセンターという背水の陣
これはイケると確信したかのんたちは、早速すみれがセンターの布陣で練習を始めます。
すみれ「つかぬことをお聞きしますが……この位置というのはもしかして……」
かのん「センターだよ」
千砂都「今回の課題のところだし、一番目立つところで歌った方が良いと思って!」
可可「可可は反対でしたが」
やっと憧れのセンターに立つことが出来たすみれ。本人もまさかセンターに抜擢されると思っていなかったのか、驚きの表情を見せます。
しかし、当然黙っていないのは可可です。これまでも些細なことですみれに文句を言っていた可可。その問題の人物がセンターに立つということになれば、当然ケチの一つや二つでは済まないというわけです。
「この人は今までも真ん中に立つことが出来ずに、ここまで来たのです。それはやはり向いてないからというか……」
いきなり辛辣な指摘をする可可。当然ながらこの言葉にはロジック的にも穴があり、それをさっそくかのん達に指摘されます。
かのん「それ言ったら、わたしだって歌えなかったよ」
恋「わたくしは、ステージに立って歌うことも初めてに近いですし」
可可「ですが……」
かのん「今までは今まで。大切なのはこれからだよ」
千砂都「そうそう。Liellaと同じで、これから色々始まっていいんじゃないかな」
可可「まぁ、お二人がそう言うのでしたら……」
と、かのんと千砂都に説得されて渋々ながらも承諾する可可。しかし、なおもすみれへの厳しい追及は止まりません。
可可「とにかくセンターに立つ以上は、マジメにやるのですよ!スクールアイドルを甘くみたら承知しまセン!」
すみれ「わかってるわよ! ショウビジネスの世界で生きてきた私を何だと……」
可可「それが甘く見ているというのデス! 今年のラブライブは特に難しい戦いデス!本気で頂点を目指すつもりでいてくだサーイ!」
と、厳しい叱責をします。改めて書きますが、唐可可はスクールアイドルに対する情熱が服を着て歩いているような人物です。すみれのようにスクールアイドルを下に見るような発言を繰り返してきた人物に対しては、つい感情的になってこのような叱咤をしてしまいます。しかし、これがすみれにとっても大きなプレッシャーとなります。
この可可の一種の暴走のような状態を受けてか、すみれを除くメンバーは改めてすみれがセンターに立つことについて話し合うことに。視聴者の視点からは、すみれがセンターを渇望していたように見えますが、かのん達の言葉を聞くと100%そうではなかったことが明らかになります。
かのん「いつも『自分が前に出る』みたいなことは言うけど、実際に任せようとすると私とか、ちぃちゃんとか、可可ちゃんに振ってくるし……」
恋「やりたくないのでしょうか……?」
かのん「たぶん、自信がないんだろうなぁ。今までの事があるから。でも、この5人で本当に勝とうと思ったら、全員が同じぐらい力を見せて、全員がセンターだってぐらいの気持ちが無いとダメだと思う」
そうです。すみれは今まで「どうでもいい脇役」しか経験しなかったことから、言葉は悪いですが一種の「負け癖」のようなものがついてしまっています。その事実から、いつの間にか「自分にはそれだけの力が備わっていないんだ」という自己暗示にかかっている状態なのです。
更に悪い事に、今回センターに抜擢された舞台は、自分が「アマチュア」だと馬鹿にし続けたスクールアイドルのステージです。もともと「スクールアイドルなら自分にだって出来る」という不純な動機でスクールアイドルを始めたすみれにとって、今回このステージで結果がでなければ、先ほどの自己暗示を証明してしまうことになってしまい、スクールアイドルはおろかショウビジネスの世界でやっていけるはずが無くなってしまいます。
つまり、すみれにとっては自身のプライドを守る意味でも、「背水の陣」というわけなのです。そのプレッシャーたるや、余程でしょう。
かのん「だから、可可ちゃんも応援してあげてよ。きっと本気になれば、誰も叶わない力を発揮すると思うんだ、すみれちゃんって」
可可「応援ですか……」
かのんはすみれの抱えている不安の本質を恐らく見抜いているので、可可に応援するように提案しています。メンバーの中で一番すみれを認めていない可可に応援してもらうことで、自信をつけてもらおうということでしょう。こういうところにかのんのリーダーシップが見て取れます。そして、こう付け加えます。
かのん「うん、ああ見えて気にしていると思う。スクールアイドルのことで、可可ちゃんを怒らせちゃったこと」
そう言われて可可はこの表情。喧嘩こそ多かったものの、傍から見れば仲の良いふたりです。すみれに対して思うことも沢山あるのでしょう。
⊡ 「選ばれた」すみれ
すみれのことが気になったのか、可可は「巨人の星のお姉ちゃん」よろしく、すみれの様子を伺いに神社へと足を運びます。
そこには100回(ハーフ)スクワットや、バランスの練習をしているすみれの姿が。妹の晩御飯の呼び出しも後にし、ランニングに出かけます。
(妹いたんかい。エンディングロールでも「すみれの妹」としかないので名前は不明です。というか、妹かわいいな)
可可もわかっているはずですが、ダンスが上手だったり、毎回可可の介護が出来るほどの体力があり、更に今回ラップも出来たりと、これだけの能力がある人間が努力をしていないはずがありません。問題は、その努力の方向性が間違っていたり、あるいは単純に運に恵まれなかったりしていただけです。
しかし、悲しいかな。努力をしたとしてもそれが必ずしも報われるとは限らないのです。
そんな今までのすみれの努力が報われず、脇役ばかり選ばれるシーンがランニングと共に走馬灯のように挿入されていきます。
筆者が注目したのはこのカットです。先ほど、すみれには「負け癖」がついていると記述しましたが、まさしくこのカットがそれを表しています。
すみれの隣の女の子を見てもらえばわかるとおり、彼女は悲しそうな、或いは悔しそうな表情をしていますが、一方で肝心のすみれは無表情です。もはや自分が選ばれない事が当たり前になってしまい、「悲しい」だとか「悔しい」という感情すらも沸き上がってこないようになっています。
そしてすみれの目線の先にあるのは、選ばれたものが身に付けている「ティアラ」です。
これも後の伏線になっていますが、すみれにとって「選ばれる」というのは、ただの「憧れ」であり、それは「自分には起こらない出来事」として描かれています。
先に言っておくと今回は、この「ティアラ」が「選ばれる」あるいは「センター」のメタファーになっています。
そして、この映像が流れ、ランニングをしているすみれはずっとこう呟きます
「私が……私がっ!」
もちろん、これは「私が(選ばれた)」と言っているのですね。
いつの間にか「憧れ」になってしまったセンター、「自分には起こらない出来事」がついに叶ったのです。この「努力しても報われない」というのは、現実世界の多くの人間に当てはまります。すみれは意外かもしれませんが、私たち現実世界の人間に一番近いメンバーだと言えます。
人目も憚らず発声練習をするすみれ。すみれの練習を一部始終みていた可可は、すみれが今回のセンター抜擢に本気で向き合っているのだと思い知らされます。そして、可可はある決断をします。
⊡ すみれと可可
すみれが本気だと知った可可は、すみれのために衣装を用意しました。いわゆる、「一晩でやった」というやつでしょうか。
「オーラの無いあなたでも、センターで戦えるよう他の人とは少し形は変えてやりました」
この表情といい、このセリフといい、もう見事なまでのツンデレです。本当にありがとうございました!!
「学校内のみんなの意見も聞いてみたいから、衣装を着て練習を動画に撮ろう」と提案する千砂都とかのん。早速衣装を着るすみれでしたが、表情が固く、どこか不安げです。
かのんの曲作りも順調に進む中、思わぬ逆風が吹きます。先ほどの練習動画を投稿したところ、曲自体は好評でしたが「センターは別の人の方が良い」との意見がコメントで出始めます。
「友達に聞いてもみんな同じ意見」
「気負い過ぎちゃってて、ちょっと……」
「予選突破を考えたら、変えるのも手かな」
これらのコメントはどれも辛辣ですが、「気負い過ぎてる」とのコメントは恐らく的を射ているでしょう。先ほどすみれが衣装を着た時の表情を見れば、まだまだセンターに対して自信が無いのは明らかです。自然とパフォーマンスも、どこか強張ったようなものになったのではないでしょうか。
そこにすみれが現れます。一部始終を聞いていたすみれ。強気な言葉で皆の意見の通りにセンターを変えることをかのん達に提案します。
「そもそも、ショウビジネスの世界を歩いてきた私が、ラブライブなんていう素人の大会の予選ぐらいでセンターやるのはおかしいって思ってたの」
「私の出番は決勝に取っておくわ」
その場を去ろうとするすみれを制止するのは可可でした。やはり何かとすみれを叱咤するために現れるのは、決まって可可なのです。
可可「なに逃げようとしてるデスカ!」
可可「可可は反対です! 一度決めた以上、あなたがセンターをやるべきデス!」
すみれ「はぁ?」
可可「聞こえなかったのデスカ!? 衣装も作ったのですよ。誰が何と言おうと関係ありません! センターをやるべきです!」
厳しく見えますが、今までの可可のすみれの扱いを考えると、これ以上ないくらいの励ましの言葉です。しかし、すみれはまだ弱気です。
「無理よ、そんなこと言ってもわかってるの!! どうせ最後はいつも、私じゃなくなるんだから!!」
そう言ってすみれはその場を逃げるように走り去っていきます。
このすみれのセリフからも解るように、彼女はいつの間にか挑戦する事すら怖くなってしまっています。ようやく掴んだセンターの座でしたが、「皆が望んでいない」と知り、第4話ですみれ自身が言ったことが、またしても彼女にとって、現実になりつつあるからです。
そのセリフとは、もちろん以下のセリフです。
「私はさ、そういう星の下で生まれているの。どんなに頑張っても、真ん中で輝くことは出来ない」
⊡ 万能ゆえの弱点
すみれが去っていく中、メンバーたちの間に風が吹きます。
「風」は映像作品では色んな意味を持ちます。第8話では恋の背中を押すポジティブな存在でしたが、今回は逆の存在として描かれています。即ち、困難や逆境を表すメタファーとして風が吹いています。風が困難や逆境として描かれてる作品としては、わかりやすいところで言うと「風立ちぬ」などがありますね。
センターとして外部から疑問視されることがショックだったのか、すみれは練習に来なくなります。心配するメンバー、改めてすみれをセンターに配置することについて話し合います。
恋「難しい問題ですね。すみれさんのレベルは、歌もダンスも高いところにあります。ただ、グループの中で一番かと言われると……」
千砂都「歌はかのんちゃん」
かのん「ダンスはちぃちゃん。優雅さは恋ちゃんが一番だし、華やかなところは可可ちゃん」
千砂都「すみれちゃんには、どれも備わっているけど……」
恋「だからなのでしょうね。今まで希望が叶わなかったのは」
さて、肝心なところを説明してくれていないのでちょっと考察しましょう。すみれはどの能力に於いても秀でているにも関わらず、何故それが「今まで希望が叶わなかった」原因になるのでしょうか。
筆者がこのすみれの「オールマイティだけども、どの分野においても一番ではない」という設定に、真っ先に思いついたのはなんとなんとジョジョの奇妙な冒険第4部のボス「吉良吉影」でした(え~笑)。
ジョジョを知らない人の為に説明すると、吉良吉影は普通のサラリーマンですが、「趣味が殺人」という異常な男です。その趣味を隠し、かつ平凡に生きるために「目立つことを避けている」というキャラでもありました。そんな彼は学生時代にスポーツや文芸などで賞を取るほどの実力がありますが、そのどれもが「3位」といった中途半端な成績でした。どれかひとつに秀でさせることなく、やったもの全てをそつなく「それなりに」こなすことで、周囲の印象を薄れさせることを「敢えて」やるという、とんでもない男でした。(3位でもそれなりに目立つだろう、とかいうツッコミはこの際無しにしてください)
もちろんすみれは吉良とは違い、「目立つため」に思いついたことに何でも挑戦して、必死に努力をしたのでしょうが、それが却ってすみれを「目立たない存在」にしてしまった、ということなのでしょう。
まさか、ジョジョで説明するとは思いませんでした笑。
(第6話では料理まで披露したすみれ。何でも出来るが故に、「これが得意!」という印象付けがされないという、悲しすぎる弱点)
かのん「うん、だからこそ、すみれちゃんがセンターやるべきだと思う。だって実力では全く引けを取ってないんだから」
⊡ 勝たなければいけない
練習に出ようと思ったのか、部室まで足を運ぶすみれ。その道中に、何やら中国語で電話している可可を発見します。
「ラブライブ」という単語が出たからか、通話の内容が気になったすみれはすぐさま翻訳アプリを立ち上げて可可の会話を翻訳させます。
うん。わかってるよ。
結果が出なかったら帰るって約束でしょ。ちゃんと覚えているよ。
可可の電話の内容を知ってしまったすみれ。可可と対峙します。すると、困難を予感させる風がまたしても吹きます。
可可「まったくセンターがそれでどうするのですか? だから甘く見るなと言ってるのデス!」
すみれ「センター……?」
かのん「うん、私たちさっきまでそのことを話していたんだけど」
千砂都「やっぱりすみれちゃんセンターで行こうって」
すみれ「どうして?」
かのん「どうしてって……?」
すみれ「私が可哀そうだから? 頑張っているのに、いつもセンターになれないから?」
恋「そうではありませんかのんさんは……」
すみれ「それ以外何があるっていうのよ!!」
溜まりに溜まった感情をついに爆発させてしまったすみれ。思わずメンバーも言葉を失ってしまいます。
すみれ「別に同情なんかでセンターになったって嬉しくない。学校のみんなは他の人がセンターの方が良いって言ってるんでしょ?だったら!」
可可「同情なんかではありません!!」
可可「可可は同情なんかで衣装をつくったりはしません!」
可可がやはりすみれに嚙みついてきますが、今回ばかりはいつもと様子が違います。可可はすみれがセンターに対して本気で向き合っていたと思っていたからこそ、衣装を作ったのです。すみれの言葉を聞いて心中複雑なことでしょう。
可可「ラブライブで光を手に入れるのではなかったのですか!?」
すみれ「勝たなきゃいけないんでしょッ!?」
すみれ「あんた……絶対勝たなきゃいけないんでしょ……」
「結果が出なければ帰る」という会話を聞いてしまったすみれ。すみれは自分のプライドとして背水の陣ではありましたが、可可は「負けてしまったら帰国」という、本当の意味での背水の陣だったのです。
そんな大事な戦いのセンターに、自分を選んで衣装まで作ってくれたことを考えると、思わず涙せずにはいられなかったのでしょう。
しかし、すみれはまだ自分の力を信じていません。自分のせいで負けてしまったら、可可は中国に帰らなければいけなくなる。そう考えると、より一層のプレッシャーがかかってしまいます。
⊡ 真ん中で輝くティアラ
「何故みんなに黙っていたのか」と問うすみれ。「自分の事を気にして欲しくなかった」と可可は言います。
可可「可可があなたに(センターを)任せたのは、あなたが相応しいと思ったからです! 練習を見て、その歌声を聴いて、Liellaのセンターに相応しいと思ったからです。それだけの力が、あなたにはあると思ったからです!」
これが、すみれにとって、どれほど自信に繋がる言葉なのかは言うまでもありません。しかし、大事なのは内容もそうですが、誰が言うかです。この場合、可可が言うことがすみれにとって大きな意味があるのです。
ご存じの通り、可可はすみれをスクールアイドルとして認めていませんでした。しかし、今回すみれの真剣さを目の当たりにして、ようやく可可も認めざるを得ませんでした。そんな可可から「スクールアイドルのセンターとして相応しい」という言葉と共に認められることが、今のすみれにとっては非常に重要なのです。
可可「だから受け取りなさい! あたしが想いの全てを込めて、あなたの為に作ったのですから!!」
もう筆者は泣きそうでしょうがないですが、頑張って続けます
「センターのすみれの為に作った」と可可が言うティアラ。よく見るとちゃんとキラキラとしたエフェクトまで掛かっているあたりに、スタッフの拘りが見て取れます。
そして、思い出してほしいのは、すみれの回想でもあったようにティアラは「センター」のメタファーとして描かれています。
そのセンターの象徴であるティアラを、可可が自ら作り、そしてすみれに渡そうとしています。それほど可可は今のすみれをセンターとして認め、そして祝福しているのです。
ティアラを受け取ろうとするすみれでしたが、またしても大きな風が吹き、ティアラを可可の手から飛ばしてしまいます。
必死に追いかけるすみれ。この構図は、言うまでもなくセンターを追いかけるすみれを表しています。その必死な姿には、センターに選ばれなくても心が動かなくなっていた、かつてのすみれはありませんでした。
「届いて……届いてッ……!」
そしてすみれはやっとの思いで、ティアラ(センター)掴み取ったのです。
さて、このカットを見ましょう。スタッフはわざわざすみれを草むらに飛び込ませて、ティアラを手に入れさせましたが、これもかつてのすみれとの対比として描かれています。
思い出してほしいのは、第5話です。神津島でのサニーパッションとの練習時、「髪をセットするから」「身だしなみは命」などと言って、30分ほど遅れることを言い訳に使っていました(実際に30分遅らせたかは定かではありませんが)。
それほど身だしなみに気を遣っていたすみれを、あえてボロボロの状態にさせてセンターを掴み取るという、すみれに必要だった「泥臭さ」を演じさせたわけですね。
⊡ Check It Out!!
さて、最後に今回のタイトル名「チェケラッ!!」についてちょこっとだけ考察していきましょう。
この記事の冒頭に「なんとも気の抜けたタイトル」という風に記述しましたが、そう感じるのはもちろんカタカナにしているからです。実際に"Check It Out!!"と英語にしてみると、大分印象が違いますよね。
で、この”Check It Out”の意味ですが、筆者の英語力的には何か見て欲しいもの(サッと見るとかではなく、じっくり見て感想が欲しいぐらいのニュアンス)がある時に使いますね。ちなみに、筆者はアメリカに過去数年住んでて、英検も1級持ってるので、ある程度英語については信頼してくれて大丈夫だと思います(プチ自慢)。とはいえ、間違いがあるといけないので参照リンクも載せておきます。
何故このタイトルにしたのかは、ただ単に今回の予選で「ラップ」が課題として選ばれているからだけではないと思います。
第7話の考察で、すみれの「自意識」や「承認欲求の強さ」のお話をしましたね。
繰り返しになりますが、その承認欲求の強さとは即ち「私を見て欲しい」という欲求のことです。今回この"Check It Out"という言葉に込められているのは、「今までの私の努力を見て欲しい」という、まさにすみれの欲求とマッチングしたタイトルになっているからだと考えます。
「ありがとう可可……」
「すみれ……」
ついにはお互いを名前で呼び合うようにまでなりましたね。そして、抱き合うメンバーたち。
恐らく、今までショウビジネスの世界で生きてきたすみれはどこか孤独な少女だったのではないかと筆者は想像します(あくまで想像です)。
しかし、今回ようやくその孤独を埋められる「仲間」が出来ました。しかもその仲間は、何の因果か自分が今まで嫌悪してきた「アマチュア」の人間だったのです。
すみれは今回大きく成長することが出来ましたね。これからメンバーを支える、より大きな存在になるのは間違いないでしょう。
というわけで、今回はここまでです。
なんだかセリフの引用が多くて、ラクをしてしまいすみません(汗)
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました!
それでは次回、第11話「もう一度、あの場所で」でお会いしましょう!!
さようなら~。