ラブライブ!スーパースター!! 第1期 感想&総評 ~結局面白いの? 良かった点 悪かった点~
※前半はラブライブ!スーパースター!!をまだ観ていない方のためにネタバレなしになっております。
こんにちは。先日ラブライブ!スーパースター!!(以下スパスタ)が全12話の放送を終え、その第1期が幕を閉じました。
ラブライブが好きな方もそうでない方も、気にはなっているけどまだ観ていないという方もいらっしゃると思います。
そこで、今回は私の視点でスパスタについて前半はネタバレなしに後半はガンガンネタバレして、結構な本音を交えながら第1期までの総評を纏めていきたいと思います。
スパスタの良かったところは?
悪かったところは?
結局面白いの? どうなの?
色々気になっている方は、是非こちらの記事を参考にして頂ければと思います!!
それでは、早速見ていきましょう。
⊡ 良かった点
作画が良い
全体的な作画は非常に良かったです。個人的にはサンシャイン!!からはキャラ作画の統一性が素晴らしいなあと思っていましたが、今作でもその丁寧な仕事が引き継がれているように感じました。
厳密に言えば作画の乱れが全く無かったわけではありません。しかし、いわゆる「作画崩壊」と言われるようなシーンは筆者の思いつく限りではありませんでしたので、作画の良し悪しをこの作品で気にする必要はないかと思います。
筆者はアニメの作画に対してそこまで厳しいわけではありませんが、それを踏まえても非常に安定した作画だったと言えるでしょう。
(モブの顔もしっかりと描かれてある)
楽曲と声優陣の歌唱力が素晴らしい
ラブライブと言えば「アイドル」を題材にしたアニメになりますので、必然的に音楽の良し悪しも作品に大きく影響を与えます。こればかりは好き嫌いの振り幅が大きいとは思いますが、少なくとも今までのラブライブシリーズを観ていたファンの満足度を満たすものだったのではないかと筆者は考えています。
今作では声優陣の歌唱力が際立ちました。特に主人公の「澁谷かのん」の声を担当している「伊達さゆり」さんの歌唱力はかなり目を見張るものがありました。
物語の展開としても、担当している声優さんの歌唱力はストーリーに説得力を持たせるうえで非常に重要でした。ラブライブはシリーズを通して新人の声優さんを起用することが多いですが、今作では(今作でも)歌唱力や演技力の面では全く問題ないと感じました。むしろ新人さんなのに上手いなぁと感じることが多かったです。
(特に主人公の歌唱力は必聴です)
絵の作り込みが良い
ここが個人的に一番気に入っているところなのですが、キャラクターのセリフだけでなく背景などのキャラクターの環境だけで隠喩的にキャラクターの心理描写を行っている場面が多かったです。
「それが何?」と言われれば確かにそうなのですが、普通の「アイドルアニメ」をやりたいのであればこんなことをする必要はありません。筆者が注目しているのは、そういった作り込み自体だけではなく、そんなところにまで気を遣って作品の質を上げようとしているスタッフの心意気だったり、作品としてのラブライブの魅力だったりが見え隠れするところなのです。
そういったところに気が付くと、キャラクターが本当に伝えたい事だったり、考えていることをより深く理解することができ、ラブライブシリーズが大事にしているキャラクターや物語の「エモさ」がより一層引き立つのです。
こういったものを見過ごすのは、あまりにも勿体ない観方だと思っているので、本ブログではそういったところに注目してスパスタの考察記事を書かせて頂きました。
(これだけ見ると何気ないシーンに思えますが、実を言うとこのカットにはキャラの心理を描いた背景の演出があります。スパスタはこういうシーンが豊富にあります)
⊡ 悪かった点
ここからは悪い意見ですが、ちょっと粗探しをしてる感じがあるので大目に見てください。
他シリーズの類似
さて、これに関しては賛否両論あると思います。気になった方もいらっしゃると思いますし、私も正直若干ではありますがそうでした。
詳しくはネタバレになってしまうので書けませんが、ラブライブシリーズを観ている視聴者からすると「あぁ、結局ここに落ち着くのか……」という感想を抱く方も少なくなかったと思います。
もちろん、全てが全てそうだとは言いません。部分的にもやはり変わっているところはありましたが、個人的にはストーリーに関してあまり新鮮味を感じませんでした。ただ筆者としてはラブライブに限らずストーリーをあまり重要視せず、そのストーリーをいかに演出するかの方に注目しているので、これに関しては多少目をつむることは出来ます。
逆に言えば、踏襲されているものを観る「安心感」があるのも事実です。何にせよ捉え方次第だとは思いますが、「そういった見方もある」ぐらいに思ってください。
(いわゆる「下から生えてくるやつ」。こういうのは幾らでも歓迎なんですがね)
セリフが多い
こちらも本当に"個人的に"気になった部分です。
「良かった点」の項目で書いた通り、今作では背景などの作り込みによってキャラクターの心理描写が成されているシーンが多かったです。それはつまり、「スタッフに映像や絵で状況を説明できる力がある」ということになります。それだけに説明的な長いセリフがあると「ちょっと勿体ないな」という風に思ってしまいます。
加えて言うと、前述した長いセリフがあることによって、視聴者が画面に対して注意散漫になり、せっかくの背景によるキャラクターの心理描写が気付かれにくくなってしまっています。こういったところも非常に勿体ないなと感じるところです。
とはいえ、スパスタはテレビアニメなので、「一般の視聴者にわかりやすいように作る」というのもあるかと思います。そこらへんのバランスを取らなければいけないという制作側の事情も分かるのですが、個人的には一歩踏み込んだ映像描写で、アニメ作品として一歩抜きんでて欲しいという想いがありました。はい、勝手ですいません。
(筆者が個人的にセリフが要らないと感じたカット。なぜそう思ったのかは、是非本編を観てください)
最後が駆け足
これはTwitterでも非常に多くの方が感じていた感想ですが、最後が非常に駆け足で終わらせたという感じが否めませんでした。
ラブライブの他シリーズは全13話あるのに対してスパスタは全12話でした。これに関しては色々な大人の事情が折り重なってそうなったのかもしれませんが、やはりもう1話あればこの駆け足感を多少なりとも解決できたのではないでしょうか。
とはいえ、スパスタは割とコンパクトに各キャラクターの話やストーリーを纏めているところもあるにはあります。しかし、それでもいちファンとしてはもう1話観たかったというのも事実。「OVAなんかで残りの1話を出す」みたいなことをやらないのを祈るばかりです。
⊡ 総評
さて、細かい事を言ってしまえばまだまだ良いところ、悪いところを挙げられるのですが、あまり突っ込んだことを言うとネタバレを含んでしまいますし、なにより揚げ足取りみたいになってしまいますのでここらへんで遠慮しておきましょう。
大変おこがましいことですが
今回のスパスタ一期に点数をつけるとするならば
100点満点中75点
といったところでしょうか。
「ちょっと低いんじゃないか」と感じられる方もいらっしゃるかと思います。少し客観的な点数付けになりますが、一応この点数にそれなりの理由をつけるとすると、以下になります。
まず良いところを改めてお浚いしておくと、作画含めて絵は非常に綺麗です。今作では原宿エリアが舞台となっていますが、オシャレ最先端の舞台に相応しいカラフル且つ自然な色合いで観ていて楽しかったです。キャラクターの可愛らしさというか、そういったものは存分にアニメーションとして描けていたのではないかと思いました。
絵で存分にキャラクターの心理も描けていました。こちらに関しては私が各話の記事で纏めているので、読んで頂ければ幸いです。
そして、魅力的な楽曲の数々も見過ごせません。ラブライブの醍醐味と言えば、楽曲とキャラクターの情景がシンクロしたかのような演出にありますが、今作でもそれが見事に発揮されていました。ライブの映像技術も日々進歩しており、その最先端の技術を使ったライブ演出も必見です。
続いてやはり気になるところとしては、まだ第1期だということはわかっているのですが、それを踏まえてもストーリー的に少し物足りなさを感じました。前述したように、私としてはあまりストーリーに注目はしていないのですが、ラブライブの「お決まり」が今作でも踏襲されていることを踏まえると、もう少し捻りが欲しいと感じる人も少なくないと思います。
加えて言うと、キャラクターの背景や環境を描いたエピソードが第1期の殆どを占めています。それはそれでもちろん楽しめるのですが、山場を迎えるための事前準備の様に感じることもありました。
言うなれば、凄く良い前菜を出されてメインディッシュとデザートをお預けされたような感覚があったのです。
さて、色々書きましたが簡単に纏めるとこうなります。
ラブライブ作品として期待したことは大体あって楽しいが、それ以上の大きな事はあまりなかった
というのが個人的な感想です。
なので個人的にはこの無難な点数に落ち着いたということですが、これは勿論「第2期に対する期待を込めて」この点数なのです。まだ第1期なので、まだまだこれからだというのも当然わかっています。しかしながら、やはり視聴者としては前菜だけ出された状態で100点をあげるわけにはいかんのです。
まぁ、そういうことを言ってしまうとこの時点で点数をつけるのも間違っている気もしますが、一応わかりやすい指標みたいな感じで点数をつけさせていただきました。
色々と厳しい事も言いましたが、ラブライブ!スーパースター!!は総合的に見れば大変優秀なアニメでした。
⊡ このアニメをおススメ出来る人 そうでない人
それでは最後に、筆者が考えるこのアニメを観るのにオススメな人を説明します。
このアニメを観るのにおススメな人は、「ラブライブシリーズがずっと好きな人」ではないでしょうか。前述したように、この作品はラブライブシリーズの「お決まり」を大体踏襲しているので、そういったものをまだまだ許容出来る、楽しめるという方は向いています。
そして、当然ながら「ラブライブシリーズを観たことが無い人」にもおススメです。そういう方はお決まりが何なのかという予備知識が無い分新鮮に観れると思いますし、そういった事を抜きにしても非常に綺麗なアニメですので、是非とも見て頂きたいですね。
それでは、このアニメを観るのはキツいかも、と言う人はどういう人でしょうか?
結論から言うと、「ラブライブシリーズに飽きてきた人」です。くどいようですが、スパスタはラブライブの「お決まり」を良い意味でも悪い意味でも踏襲しています。そういった方にとっては、今回の作品は初代「ラブライブ!」の延長にしかならないと感じるかもしれません。
あとは、「美少女ばかりが出るアニメが苦手な人」も厳しいと思います。言うまでもないですが、このアニメは美少女JKがメインのアニメですし、男は本当に殆ど出てきません。そういうある意味キャピキャピした女子高生が苦手な人は、向いてないですから悪い事は言わずにチャンネルを変えましょう。
以上、あくまで個人的な感想です。
参考になれば幸いです。
↓↓ここから先はネタバレありの総評です!!
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⊡ ※ネタバレあり デウスエクスマキナ
ネタバレ枠へようこそ。
スパスタの良いところは「ネタバレなし」で書いた通りのことばかりですし、何より「ネタバレありの良いところ」というのはスパスタの考察記事全体で語りつくしたと思いますので、是非とも考察記事を読んで頂ければと思います。
本当に誤解のないように言っておくと、筆者はスパスタが好きです。先ほどネタバレありの記事で75点と書きましたが、個人的な好みの評価で言えば85点はあげたい作品なのです。
しかしそれは、「ブログを書いている」という非常に個人的な事情故に、この作品を分析的に観ている筆者だからこその評価です。あまりフェアな評価とは言えませんのでネタバレ無し枠では割愛させて頂きました。
さて、前置きはこのぐらいにして本題に行きましょう。
ここから先、筆者はかなり辛辣な事を書いていきますので、引き返すのなら今の内です。
皆さんは「デウスエクスマキナ」という言葉を御存じでしょうか?
ものすごく簡単に言うと、「ソードマスターヤマト」です。どちらもご存じない方は、どうぞググってください。
ズバリ言ってしまうと、筆者が一番スパスタで気になったのは物語のラスト、いわゆる「廃校問題」をこの「デウスエクスマキナ」のように片付けてしまったことです。
筆者としては「廃校問題」に関して、無印ラブライブ!そしてサンシャイン!!散々出てきたテーマが出た時に、「使い古された道具をまた持ち出してきたのか」というような多少のネガティヴなイメージがありました。
それと同時に、「Liella!はこの『廃校問題』をどのように解決していくのか?」という期待もあったのです。私個人の感想としては、無印ラブライブ!で「μ'sが廃校を阻止した」という事に関して描写が足りないと思っていたので、スタッフはそこを丁寧に今回は描写してくれるのかなあ、と期待していました。
しかし、その期待も12話で打ち砕かれてしまいました。第8話で葉月恋の母親・葉月花が「スクールアイドル活動で学校を廃校から救えなかった」という記録があることを、大々的に設定として取り入れていました。
だからこそ、「Liella!はどのように学校を救うのか」という事に注目が集まったわけですが、「じゃあ具体的にLiella!は葉月花のスクールアイドル活動と、何が違って廃校を阻止できたのか」という描写が筆者の思いつく限り一切ありませんでした。
確かにLiella!の活躍は目覚ましく、原宿という地域でそれなりに認識されているスクールアイドルになったという描写はありました。しかし、第12話の時点で「東京大会敗退」という結果になっています。結局のところ、これもμ'sと同じく「Liella!のスクールアイドル活動と入学希望者の因果関係」がハッキリ示せてないのでは、と感じました。
おそらくこういったところが、多くの人がスパスタは「駆け足で終わらせた」と感じる要因になっているのではないでしょうか。
これが筆者が指摘したい大きなポイントです。
他にも気になったところとしては、葉月恋は何故最初あそこまで「スクールアイドルはこの学校に”相応しくない”」という表現をしていたのか。「母親がスクールアイドル活動をしていた記録がなかった」というだけでは正直あまり納得はしていません。おかげで第2話の記事はとんだ的外れな記事になってしまいました。
と、まあこれ以上あげたら結構きりが無くなってくるのでこれぐらいにしておきましょう。
気になったところをざっくりと表すと
スパスタは大きく広げた風呂敷を上手く畳むことが出来なかった
という風に言えるんじゃないかな、と思います。
ただこれは繰り返しになりますが、ラブライブシリーズ自体が「細かい整合性を求めた作品ではない」ということは留意して頂ければと思います。
ここまで散々っぱら書いておきながらなんですが、そういった事情を筆者も知ってはいるので、じゃあそこまで気にしているのかというと、あまりしていません。
ただ、今回は「良かった点 悪かった点」というテーマで書いているので、こういったことも正直に書いてみました、というだけです。
人の感じ方はそれぞれだと思いますが、気になる人はかなり気になる事でしょう。これだけで「スパスタは駄作だ!」と言ってしまってる人もいましたが、私個人の感じ方としては「そこまで言うことは無いだろう」といった具合です。
以上、長くなりましたがこれ以上悪い事を言うのも嫌なので、これにて〆させて頂きます。
そして、私のスパスタ第1期の記事はこの記事にて終了となります!
長い間お付き合い頂き、ありがとうございました!!
また第2期でお会いしましょう!!