スクールアイドル研究所

ラブライブシリーズのアニメ考察がメインです。考察という名の妄想ですが……

ラブライブ!スーパースター!! 考察 第1話「まだ名もないキモチ」 ~視聴者に宣言する主人公~

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こんにちは。ついにラブライブ!スーパースター!!の放送が開始されました。待ちに待ったラブライブシリーズの最新作ということもあり、その気合の入った出来栄えに私自身今のところ非常に満足した気持ちでいっぱいです

 

ひゃっはー!待ってたぜえ! この瞬間(とき)をよぉ!

 

毎週放送が待ち遠しい……と思いきや、オリンピック開催期間中は放送を休止するという生殺し状態がラブライバーに強いられている状況です。

 

本来であれば第3話まで放送されているはずなのですが、それもお預け。その代わりと言ってはなんですが、Youtubeでは毎日10時から1話と2話の振り返り放送を行っています。果たして毎日欠かさず1話と2話を見る人はいるのでしょうか(笑)。

 

さて、それはさておき第3話放送まで時間があるので、ゆっくりと第1話と2話を考察していこうと思います。

 

2021.9 追記しました

 

※ここから先はラブライブ!スーパースター!!第1話のネタバレを含みます。まだ本編を視聴していない、またはネタバレが嫌だという人は決して見てはいけません。マジで責任は取りませんので、悪しからず。

※基本的にこの考察はただのおっさんの妄想です。ひとりのラブライバーの解釈であり、これが「正解」であるなどと言うつもりは全くございません。あくまで、妄想・ジョークの類として受け取って頂ければ幸いです。

 

⊡ 主人公 澁谷かのん

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第1話を観た感想としては、この話は主人公の澁谷かのんにフォーカスが当たった回という印象でした。この物語の軸となる主人公にスポットライトを当て、視聴者にこの女の子がどういう人物であるかを伝えるための描写が目立ちました。

冒頭から主人公は「歌が好き」「結衣ヶ丘女子高等学校の音楽課に入りたい」「好きな食べ物」などなど、自己紹介をします。その後どのような過去(トラウマ)があるのかを映像で端的に表現。家ではなんとも気の抜けた姿をし、悪態もつく、やさぐれた一面があります。これは恐らく音楽課の試験に落ちてしまったからでしょう。「その制服似合ってる」との母親からの言葉も穿った形で捉えてしまい、理解者である家族に対してもそっけない態度を取ってしまいます

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開始から約2分ちょっとでこれだけの情報量があります。物語をテンポよく進めるため、必要な情報は手っ取り早くわかってもらおうということでしょう。

とはいえこれだけではまだ解らない事があります。物語全体を振り返って、澁谷かのんを深堀りしていきます。

 

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(第一話「まだ名もないキモチ」。このタイトルはもちろん、Liellaのファーストシングル「始まりは君の空」の歌詞から来ている)

⊡「見ない」「聞かない」「言わない」三猿のようなかのん

第1話で突きつけられる課題は間違いなくかのんが「人前で歌うことが出来ない」ことでしょう。

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人前に出ると極度に緊張してしまい、歌うことが出来なくなってしまうそうです。幼いころには緊張で倒れてしまう描写もあります。あまり詳しくはありませんが、パニック発作のようなものを起こしてしまう体質のようです。「人前に出て歌えない」状態は冒頭自己紹介で語った「歌で皆を笑顔にしたい」という夢を叶えるための大きな障害になってしまいます。

 

音楽課の試験でも同様の症状が起きてしまい、結果としてかのんは希望の音楽課ではなく普通課の生徒として結衣ヶ丘女子高等学校へ入学します。それは彼女にとって辛い「現実」です。

その辛い現実から逃れるための行動が、第1話で表れています。

それは「(観客を)見ない」「(周りの意見を)聞かない」「(自分の本音を)言わない」です。

少し本来の意味とは違いますが、まるで三猿のようだと思いました。

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多少強引なところはありますが(笑)、まあそう言わず澁谷かのんの言動にフォーカスをあてて本編を振り返っていきましょう。

⊡ 辛い現実から自分を守るための防具 「聞かざる」ためのヘッドホン

登校早々、かのんはヘッドホンをつけます。どうやら音楽を聴いているわけではなく、ノイズキャンセリング機能で外部の音を遮断しているようです。「よし」「これで何も聞こえない」と一言。

 

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これはとても解りやすい表現ですね。単にオシャレ目的として装着しているのもありますが、外界からの音を遮断して、自分の殻に引きこもるという割と映像作品では定番の表現でもあります。似たようなキャラクターに、前者では「五等分の花嫁」の中野美玖、後者だと「エヴァンゲリオン」シリーズの主人公・碇シンジ君がいます。このシーンの場合はシンジ君パターンですね。

 

⊡ 客を見ること莫れ

澁谷かのんが歌えない原因は何なのでしょうか。第1話で語られた事実だけを基に推察していきましょう。

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かのんはパニック発作(のようなもの)を起こしてしまうことで歌うことが出来なくなります。では発作が起こる条件は何なのか。かのんが最初に歌えなくなったのは小学生のとき。回想シーンで合唱発表会のような催しが行われてる最中、自分のパートが回ってくるのですが多くの人を眼前にし、緊張してしまい、表情もこわばり目は虚ろ。ついにはその場で倒れてしまいます。

 

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音楽課の試験の時も同様です。倒れる描写こそなかったものの(よく見たらありました、すいません)、複数の試験官を前に緊張してしまっていました。以上の事から、澁谷かのんは人目を極度に気にすることから歌えなくなってしまっている事がわかります。何故そうなってしまったのかは第1話の時点ではわかりません。

 

では逆に、かのんが第1話の時点で歌える条件は何だったでしょうか。

 

冒頭屋上のシーン。かのんがギターの弾き語りで歌っているシーンがあります。かのんの声を担当している伊達さゆりさんの美しい歌声に聞き惚れるシーンでもありますね。我々視聴者の感想を代弁するかのように「すごい、綺麗な声」と、歌を聴いている生徒達も漏らしますが、肝心のかのんは目をつむり、観客に背を向けています。

 

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かのんは前述した小学生時代の経験から、人前に出て歌うと発作を起こすことを知っています。つまりこれは歌うための彼女なりの対処法というわけです。

 

もう1シーン見てみましょう。登校時、ヘッドホンをつけてかのんは唐突に歌い出します。このシーンもやはり、伊達さゆりさんの歌唱力に魅せられてしまってついつい見逃してしまいそうですが、ここも先ほどと同様かのんはほとんど目をつむっています

 

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歌に集中するため、歌手が目をつむりながら歌うことは多々ありますが、かのんの過去や発作の事を考えると、それ以外の目的で目をつむっているようにも見えてしまうのです。現にこの時、この場には唐可可が居合わせていたのですが、かのんはそれに気づきませんでした。意図的に人を見ないようにする癖がついているのではないでしょうか。

 

余談ですが、このシーン、ラブライブ!劇場版の終盤、ライブに向かう途中踊っている高坂穂乃果を彷彿とさせます。ラ!劇場版のあのシーンは穂乃果が全ての悩みから解放されたことを表現していると私は思っているのですが、かのんも歌っている時は非常に解放感に満ち溢れています。この2つの作品を手掛けた京極監督だからできる演出なのでしょうね。

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(このシーン。過去と未来と現在とが結びつき、穂乃果が悩みから解放されるというシーンだと筆者は解釈しています。どういうことなのかは、また機会がありましたら別記事にて語るかもしれません)

⊡ 「言わざる」かのんとは真逆の存在 唐可可

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第1話では澁谷かのんと同じぐらい、ともすればそれ以上に存在感を放っていたキャラクターがいました。そう、唐可可(たん・くぅくぅ)です。彼女は言うまでもなく狂言回し的な役割を担っているわけですが、このキャラクター、いろんな面で主人公・澁谷かのんとは真逆の存在です。

 

どうやらかのんと同じクラスの可可。入学初日、彼女は自己紹介で突然こう述べます。

「ところで皆さんは、スクールアイドルに興味がありませんか?」

「可可は、皆さんと一緒にスクールアイドルがしたいです!」

 

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まさに単刀直入です(笑)。しかしながら、これはまさしく可可のキャラクターでもあります。つまり、自分の夢(欲望)に正直なのです。隠れるように歌うかのんとはまさに正反対の存在です。

 

彼女のそんな真っすぐな性格は、行動にも表れます。入学初日から自作の看板を掲げ、スクールアイドルのメンバーを募集します。早くも目を付けていたかのんを追い回し、スカウトします。というかそもそもスクールアイドルをするために日本に留学しているのですから、その時点で凄い行動力と決断力です。

 

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しかし、かのんは可可の真っすぐな欲望を受け止められず、逃げてしまいます。まぁ、単純に怖いからってのもあるけど……(笑)

 

かのんと可可との会話

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可可は「歌がお好きなんでしょう?」と、早くもかのんの本質を見抜いたかのような質問を投げかけます。勿論かのんは歌が好きなのですが、つい「嫌いじゃないけど」と曖昧に答えてしまいます。

 

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可可は自分のやりたいことに正直ですが、一方でかのんは過去のトラウマから自分の「大好き」を口に出すことを躊躇ってしまうのです。だからこそ、躊躇いなく自分の欲望を口に出す可可に戸惑い、なかなか受け止められないのです。

 

「自分の夢や気持ちに正直になれるか」というのも、第1話でかのんが乗り越えなければいけない課題でもあるのです。

 

⊡ 澁谷かのんの決意表明 舞い降りる白い羽

可可はかのんの過去のトラウマを聞き、かのんへの執着を一時諦めます。しかし、かのんは可可の熱心な言葉に心を動かされたのか、可可のスクールアイドル勧誘を手伝うことにします。

その最中、平安名すみれも誘っています

「あたしを誰だと思っているの!?」

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ものすごい勢いで断られます。このセリフですが、平安名すみれのキャラクターをこの時点で端的に表したセリフでもあります。つまりはプライドが高く、自分の実力に対して自信があり、部活動を下に見ている、ということです。そういうわけで、すみれの加入はまだまだ先になりそうです。


勧誘が上手くいかず、ふさぎ込む2人。そんな中、可可はかのんに再度アタックを試みます。

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「どうしてもかのんさんと一緒にスクールアイドルがしたい!」

 

かのんは音楽課への試験に失敗します。その事実が彼女の心に暗い影を落としこむわけですが、それは周りにも影響を与えてしまいます。家族も友達もかのんを気にかけ、優しい言葉を掛けます。それは周囲の気遣いでもあり優しさでもありますが、同時に腫れ物のように扱われるのはかのんにとっても辛いのです

しかし、可可はかのんの過去を知った上で、「かわいそうな人」として扱うのではなく、「あなたが欲しい」とはっきりと表明します。かのんにとって唐可可は、「歌えない」という負の状態を背負った自分をはっきりと受け入れてくれた初めての人物なのです。(まるで愛の告白やー)

 

可可の誘いに一度はかのんも背を向けますが、自問します。

 

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「私の歌を大好きって言ってくれる人がいて、一緒に歌いたいって言ってくれる人がいて、なのに本当にいいの? 本当にこのままでいいの?」

 

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(立ち止まるかのん。恐らくこの「線」を越えてしまえば、もう戻れない)

 

かのんは踵を返し、可可の元へと駆け寄ります。

彼女を守っていたヘッドホンも外します。

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さて、ここからが第1話のクライマックスシーンと言っても過言ではないと思いますので、画像も気持ち多めで考察していきます。

可可の元に駆け寄るかのん。私たち視聴者はかのんの前に可可が立っているというこの構図で描かれたカットを見ているので、これからかのんが言うセリフを「かのんが可可に言っている」とついつい思い込んでしまいますが、それは勿体ないミスリードです

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そしてカットが変わります。下のカットを見てください。

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お分かりでしょうか? 背景が曲がっています階段や木などは本来直線で描かれるはずですが、曲がっています。見逃してしまいがちですが、ここは魚眼レンズで背景が描かれています

これが意味することはただひとつ。視点が変わったのです。そう、これは我々視聴者の視点になっているということです

そのうえで、つぎのカットを見ましょう。映像作品、特にアニメではキャラクターがカメラ目線になった時には、作品を見ている視聴者に対して語り掛けている場合が非常に多いです

たまたま、という場合ももちろん否定できませんが、この場合は背景をわざわざ魚眼にしていることから間違いないと筆者は確信しています

そして、我々視聴者に向けてかのんは、決意表明をします

「やっぱりわたし、歌が好きだ!」

 

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その力強い姿には、かつての「(観客を)見ない」「(他人の意見を)聞かない」「(自分の本音を)言わない」かのんは存在しません。

 

そんな彼女の元には白い羽が……

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白い羽はラブライブシリーズにおいて、何かしらのメタファーとして度々登場します。それは「希望」とも捉えられるし、「資格」とも捉えられます。解釈は多数ありますが、少なくともかのんにとって何か成長があった証だと見ていいでしょう。

 

そして歌い出す少女たち

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この最高の解放感がラブライブシリーズの醍醐味ですね!

 

追記:

さて、この「未来予報ハレルヤ」ですが、このMVは筆者が思うにこれからのメンバーとの展開をまさに「予報」している内容になっています。それぞれを追っていくと流石にそれだけで長くなるので、メンバーが揃った時点で別記事にて考察していきます

 

以上で考察は終わりですいかがでしたでしょうか。

だいぶこじつけが多い上にやたらと長かったですね。自分もこの文章を書いていて、「ここまで読んでる奴なんかいねーだろ」、とか思いながら書いてます(笑)。もしここまで読んでくださってる方がいましたら、本当にありがとうございます! 少しでも楽しめたのなら幸いです。

 

本当は他メンバー、平安名すみれ、嵐千砂都、葉月恋にも言及したかったのですが、そうなるともっと長くなりますし、何よりこのブログまだ誰も読んでないので私もそこまでモチベーション保てません。もっと長くなっても良いから他メンバーにも触れて欲しいという要望が、万が一にもありましたら追記いたします(笑)。

 

このブログでは引き続きラブライブ!スーパースター!!を追い続けていきます。

このボリュームの考察を毎回するかどうかは、まぁわかりませんが……(なんてったって、まだ第1話だぞ、オイ笑)。

追記:第6話の時点では、このボリューム以上の記事を書いています。なんてこった笑

 

次回は第2話「スクールアイドル禁止!?」を深堀していきます。