ラブライブ!スーパースター!! 考察 第11話「もう一度、あの場所で」 ~「答え」はいつも自分の中にあった~
皆さんこんにちは。
物語もついに佳境へと入ってまいりました。この第11話を終えると、いよいよ第1期は残すところ最終回を迎えるのみです。
多くの視聴者が予想していたのは、唐可可をメインにした話だったのですが、第11話でフォーカスされたのは、なんとここに来て主人公の澁谷かのんでした。
第3話で「人前で歌えない」ことを克服したかのんでしたが、今回の話ではさらに一歩踏み込んだかのんの苦悩を描いていました。
さて、これ以上はネタバレになるので書けません。
それでは、早速見ていきましょう。第11話、対戦よろしくお願いします!(何
※ここから先はラブライブ!スーパースター!!第11話のネタバレを含みます。まだ本編を視聴していない、またはネタバレが嫌だという人は決して見てはいけません。マジで責任は取りませんので、悪しからず。
※基本的にこの考察はただのおっさんの妄想です。ひとりのラブライバーの解釈であり、これが「正解」であるなどと言うつもりは全くございません。あくまで、妄想・ジョークの類として受け取って頂ければ幸いです。
- ⊡ 東京大会進出
- ⊡ 「壁ドンさん」と同じ趣味だった恋ちゃん
- ⊡ 繊細なココロ
- ⊡ 大事なのは「人との繋がり」
- ⊡ たこ焼きから見る 千砂都と可可のスタンス
- ⊡ 勇気はどこに?君の胸に!
- ⊡ 励まし合う現在と過去のかのん
- ⊡ 私のSymphony
⊡ 東京大会進出
前回すみれをセンターにして披露した「ノンフィクション!!」。一週間経って、改めて観ると、正直アレがラップだったのかというのはかなり微妙ですが、会心の出来だったのは間違いありません。雰囲気的にも勝利の空気が満遍なく漂っていましたし、そもそも突破してくれなければ話が進みませんし、すみれがあまりにも可哀そうすぎます。
アクセスが集中して結果を見ることがなかなか出来ない中、サニパから携帯電話にメッセージが。
摩央さんのアイコン適当すぎませんかねぇ?
ということで、ライバルユニットからLiellaが東京大会進出を果たした旨を告げられます。もはやここまでしてくれるなんて、ライバルというよりはただの仲間ですね(別に文句を言っているわけではありません)。
晴れて東京大会へと駒を進めることが出来たLiella。ラブライブとしては、言ってしまえばここまでがデフォルトのようなところはあるので、視聴者は全く心配していませんでした。しかしながら、さすがにこの5人は胸いっぱいの様子でしたね。
前回大活躍だったすみれ。「かっこよかった」「ファンになった」など、「センターは別の人が良い」などと言っていた外野からの熱い掌返しが早速始まりました(もちろん、そのコメントをしていた人と今回の感想を言っている789が同一人物かは定かではありませんが)。
可可も「鼻が高い」というような表情を見せているので、本当にこの2人の距離が縮まったんだなぁと、感じますね。こりゃまた薄い本が大量に出てくるぜ。
「何か力になれることがあったら、いつでも言ってね!」
前作サンシャイン!!でも第11話の時点ではクラスメイトからの熱い応援がありましたが、今作スパスタでも11話ともなれば他の生徒達もかなり協力的な姿勢になってくれています。ようやく学校が、かなり良い雰囲気になってきています。
ピンポンパンポーン
「スクールアイドル部の部員は放課後、理事長室に来てください」
と、そこへ理事長からのアナウンスが校内に流れます。「表彰されるのでは!?」と期待しますが、何やら理事長の声のトーンは「怒っている」ようにも聞こえたとのこと(先に言っておくと、全然怒ってなかったのですが)。
その”怒っている”という実をいうと検討外れな意見に、葉月恋は何やら思い当たる節があるようです笑。
⊡ 「壁ドンさん」と同じ趣味だった恋ちゃん
(そしてこの表情である)
自分のせいで理事長が怒っているのだという恋。話を聞いてみると、何と恋は部室でこっそりエッチな(?)サイトを見てしまっていたと衝撃のカミングアウトをしてしまいます。
(これがラブライブの世界で表現できる精一杯のエッチなサイト。「誰かさん」と趣味が同じだった恋ちゃん)
とても真剣な(!?)表情で件のサイトを見つめる恋。鼻息もかなり荒くなっているのが個人的なポイントです。
そして、ついにクリックしてしまい、中身を見てしまった恋はこの表情です。
(かわいすぎ)
とまぁ、正直こんなどうでもいい事でこのブログとしてもかなり尺をつかってしまいましたが、この話の見どころポイントでもあったので一応載せておきました笑。
⊡ 繊細なココロ
さて、理事長が呼び出しをしたのは当然、恋ちゃんがエッチなサイトを見たからではありません。かのんと千砂都の母校から、「歌ってほしい」との依頼があったことを告げます。
理事長「卒業生が始めたスクールアイドルの歌を、生徒に聞かせたいって」
恋「そういう事でしたか~」
可可「スバラシイデス!是非まいりましょう!」
理事長「じゃあ、OKってことでいい?」
皆がこの素晴らしい提案を前にして気分も高揚している中、かのんだけはどこか戸惑った様子です。あっさりと、歌を披露するという事で話が進むことに困惑しているようにも見えます。
しかし、最終的にはかのんも流されるように「いえ、とても素敵な話だと思います」と承諾してしまいます。かのんの感情の機微に気付いていたのは、当然ながら幼馴染で事情を知っている千砂都でした。
練習中のかのんは、どこか浮かない表情です。そして、思い出すのはかのんが歌えなくなったキッカケになった、あの発表会の日です。
恐らく本番直前のステージ脇。本番を前にして。同じ合唱部の生徒たちは緊張の色を隠せません。そんな中、かのんがやってきて激励の言葉を掛けます。
「大丈夫!」
「歌は怖くない! 楽しいものだよ!」
「みんなが頑張って練習してこれたのは、歌うことが楽しかったからでしょ?」
「その気持ちで歌っていれば、きっと伝わる!」
「この楽しい気持ちが、世界中のたくさんの人たちに!」
「だから歌おう! 楽しく!」
さて、この幼少期のかのんのセリフが、とてつもなく重要な意味を持って後で帰ってきますので、心の片隅に覚えておいてください。
ついに本番を迎え、ステージに向かうかのんでしたが、すぐさま異変を察知します。
心臓の鼓動が高鳴り、その場で制止してしまいます。
第1話の考察で私は、恐らくかのんはパニック発作のような症状を発しているのではと推察しましたが、このように心臓の鼓動をキチンと本編で描いていることからも、やはりかのんには元々そういった精神的な持病のようなものがあったと見て良いでしょう。
かのんの不安をいち早く察した千砂都は、早速かのん以外のメンバーを集めて話し合います。かのんが歌えなくなったきっかけを、すみれと恋はまだ知りません。
すみれ「なるほどねぇ。そのステージに立ったら、またぶり返すんじゃないかってこと?」
千砂都「大丈夫だとは思うんだけど……」
可可「そうデスヨ!かのんは可可とステージに立って歌いました!あの時から一度だって歌えなくなったことはありまセン!」
恋「むしろ、率先して歌っているというか」
千砂都「うん、それはわかってるんだけど……」
可可や恋はかのんがもうトラウマを克服したのだから大丈夫だとする一方で、千砂都にはまだ一抹の不安がある様子です。そして、こう付け加えます。
千砂都「ただ、かのんちゃん凄く繊細なところあるから……」
⊡ 大事なのは「人との繋がり」
恋の提案で、かのんと共に母校の下見をするLiellaの一向。
かつてかのんと千砂都が勉強していた教室に赴き、昔話に花を咲かせる二人でしたが、ふとかのんの目に入ったのは、かつてのトラウマを思い起こさせるものでした。
特に動揺したような表情は見せなかったものの、かのんも視聴者も不穏な空気に包まれてしまいます。
いよいよステージへと向かう一向。このレベルの講堂が小学校に付属しているあたり、さすが青山のお嬢様学校だと言わざるを得ません。
ステージに上がってみて歌うよう皆から促されるかのん。するとかのんは深く溜息をします。何気ない行動の様に見えましたが、これを異変と気づいたのはまたしても千砂都でした。
かのん「ごめん、ちょっとまって……」
このカットを見てもわかるように、かのんは右手で胸を押さえています。先ほど溜息を吐いたことからも、実をいうとかのんはこの時点で胸の鼓動が激しくなっており、それを必死に抑えようとしているのがわかります。
すると、メンバーはかのんを助けるように手を繋ぎます。
第3話の記事で、私は「かのんが繋がりの無い人間を意識すると歌えなくなる」という考察をしましたが、今回の場合は過去のトラウマを介して当時繋がりが無かった人間(当時の観客)を思い出しているという、まぁ若干強引ではありますが、そういう解釈をしています。
逆に言えば「繋がり」さえハッキリとすればかのんは歌えるということを、メンバーは無意識的に知っているので、かのんの手を握った、ということになります。かのんを知っているからこそ出来る、お助けの一手というわけです。
そして、歌い出す少女たち……というわけですが、このシーンを改めて見てもスパスタがいかに「人との繋がり」を重要視しているかが見てわかります。
さて、皆の心配を他所に、結局のところ歌うことが出来たかのん。繰り返しになりますがこのシーンを見れば、スパスタが一貫して描こうとしている「繋がり」が表現されており、中々に感動的なシーンでもあります。
もはや問題は解決したかのように見えますが、それだけに千砂都が取る行動は中々に衝撃的だとも言えるでしょう。
⊡ たこ焼きから見る 千砂都と可可のスタンス
練習の最中、ラブライブの次の課題が決まったと花陽ちゃんよろしく皆に知らせる可可。その課題は「独唱」。
正直なんともまあ、かのんを狙い撃ちしたかのような課題だなぁとは思いましたが、あまりこういう意地の悪いことを言っても盛り下がるだけなので、優しくスルーすることにしました。
「独唱」ということで、自然とその期待はかのんに集まります。前回すみれがラップが得意だったこともあってセンターを務めましたが、今回はやはりかのんがセンターのフォーメーションになることは間違いないでしょう。
可可「よかったですネ。かのんはちゃんと歌えましたし、独唱なら歌唱力を一番活かせますし!」
ところかわって千砂都のバイト先。何もかもが順調のように思っている可可ですが、やはり千砂都は何か納得のいかないような表情です。
千砂都は可可にあるたこ焼きを出します。そのたこ焼きに注目してみましょう。
可可「これはぁ~……!」
千砂都「えへへ、ちょっと餅入れすぎちゃった。”失敗、失敗”」
可可「平気です! 食べちゃえば”一緒”ですから!」
さて、このたこ焼きですが、「普通に餅を入れただけでこうはならんだろ」というツッコミも関西人としては勿論ありますが、それはひとまず置いておきましょう笑。
問題は、このたこ焼きがあからさまなメタファーとなっていることです。これは結構わかりやすいと思いますが、このたこ焼きは明らかに現在のLiellaのメタファーとして描かれています。
まず、このたこ焼きですが、わざわざ「5個」になっています。普通たこ焼きは6個から提供するものですが、可可だけに提供しているこの状況で5個だけというのは明らかに不自然です。当然、5個にしているのはLiellaのメンバー数が5人だからです。
そしてこの5個のたこ焼きを、わざわざ餅で「繋げて」いるのもかなり不自然です。やってみたらわかると思いますが、餅を中に入れて焼いたくらいではよっぽど焼くのが下手くそでない限り、こんな感じで繋がったりはしません(しつこい)。
つまり、これは制作側が意図的に5個のたこ焼きを繋げているわけです。餅が繋がっている事が意味するのは、勿論今のLiellaのメンバーの「繋がり」を表しているわけです。
こう書くと、このたこ焼きは中々にポジティブな存在のようにも思えますが、千砂都はこれを「失敗」だと言っています。更には可可の「食べてしまえば一緒」というのもかなり含みを持ったセリフです。可可のセリフについては一旦置いておきます。
以上を踏まえたうえで、千砂都はダメ押しにこう言います。
「やっぱりダメだよ! このままは良くないよ!」
何が良くないのか。千砂都は「かのんが歌えたのは私たちが"一緒"だったから」だと指摘します。
千砂都「可可ちゃんと二人でステージに立った時、かのんちゃん何て言ってた?」
可可「確か……『歌える!ひとりじゃないから』と……」
千砂都「やっぱり……」
可可「じゃあ」
千砂都「その後のライブも、この前の小学校の時もそう。かのんちゃん、皆がいるから、ひとりじゃないって思えるから、歌えるんだと思う」
先ほどもちょびっとだけ書きましたが、この千砂都の指摘は恐らくメンバー全員が気付いています。だからこそ皆が小学校の講堂でかのんの手を取ったわけです。
もちろん、可可もそれはわかっているのですが、先ほどから千砂都のこの指摘の何が問題なのかがいまいちわからないのか、可可はこう言います。
可可「それは良くないことなのですか? 仲間が居るから歌えるって、素敵なことだと思いますけど」
この可可のセリフは、先ほどたこ焼きを食べようとしていた時のセリフと重なります。千砂都が作った「繋がってしまった」たこ焼きは千砂都にとっては失敗作でした。勿論、たこ焼きの失敗というのは「かのんがメンバーと一緒でなければ歌えない」という欠点を表しています。
餅で繋がったたこ焼きは、小学校のステージで手を繋いだLiella5人のメタファーでもあり、手を繋いだあの行動自体が失敗だと千砂都は言っているのです。
その失敗に対して、可可はそういったことを特に問題にせず「食べてしまえば一緒だ」と言ってしまいます。つまり、かのんが「歌える」という「結果」が得られるのであれば、それがひとりであろうが皆と一緒であろうが「一緒」だと言っています。
一方で千砂都は、やはりこの失敗を見過ごせず「やはりこのままでは駄目だ!」と主張しています。
かのんを想う気持ちは二人とも一緒なのですが、その姿勢というかスタンスは少し違います。そのスタンスの違いを、まさかたこ焼きを使って表現するとはねぇ……。やるじゃない、ニヤリ。
千砂都「私もそう思ってた。でもね、それって本当に歌えることになるのかな?ずっと今みたいな不安は消えないんじゃないかな?」
ちょっと脱線しますが気になったので考察を。上の画像を見てください。ちょっとわかりにくいですが、壺に入っている水面に反射して星が映っています。スパスタではメンバーの事を想う時に星が出ている時があります。
思い出してほしいのは第5話。かのんが千砂都の事を想っていた時も、やたらと星が描かれていました。第5話でも、そして今回も星が出ているのは、筆者の考えは変わらず彼女たちが「星に願っているから」だと考えます。かのんが第5話で千砂都の事を想っていたように、千砂都も今回かのんの事を案じているからこそ、このように星がでてくるのでしょうね。
話を戻します。可可と千砂都のスタンスは、どちらが正しいとか良いとかいう問題ではありません。ただ単に、可可の方が千砂都と比べて優しく、千砂都は幾分厳しい人間だというだけです。それは第2話からクーカーの練習を見ていた時のスパルタぶりからもわかるでしょう。
他のメンバーにもこの件を相談する際にも、恋は「厳しいのですね……」と言っているあたりに、やはり他のメンバーも千砂都の厳しさに多少の戸惑いはあるようです。
しかし、千砂都は更に厳しい決断を選択します。
⊡ 勇気はどこに?君の胸に!
千砂都は理事長に頼み、小学校でのステージをかのんだけに任せるようにします。
もちろん、かのんには詳しい事情を伏せるため、4人は苦しい言い訳をしてズル休みをします。
かのん「えぇ!?ちょっと待ってちょっと待って! それじゃあもうLiellaじゃないよ。ひとりしかいないなんて……」
と、当然困惑するかのん。かのんの指摘はただしく、今回はLiellaとしてパフォーマンスをすることをメンバーは敢えて避けています。
それはもちろん、今回問題なのはLiellaとしてのパフォーマンス云々よりも、「澁谷かのん」個人がひとりで歌うことができるのか、ということだからです。
可可「やっぱり酷いです。可哀そうです、こんなの」
千砂都「うん」
恋「幼馴染なのでしょう?」
すみれ「千砂都の言うことは確かに理想だけれど……」
と、千砂都以外のメンバーからは多少批難とも取れる意見が出てきます。この意見に関しては、多くの視聴者も同じ気持ちだったのではないでしょうか。言葉を選ばずに言うと、一人だけハブるようにしてかのんをイジメているようにも見えるからです。
しかし、千砂都はこの行動の真意を話し始めます。
千砂都「私ね、わたし小さいころは何をしても上手くできないと思ってた」
「自分は何をやってもダメで、すぐ諦めてた」
映像は千砂都とかのんが幼い時の回想へ。
かのん「最初から出来ないなんて、そんなことあるはずないよ」
千砂都「でも……」
かのん「私も一緒にやるから、頑張ろ?」
千砂都「あの笑顔はね、元気になる笑顔。安心して勇気が出て、見ている人が心から嬉しくなる笑顔。私の知ってるかのんちゃんは、そんな笑顔を持っていたんだ」
「だからいま、あの時のかのんちゃんを取り戻すことが出来たら、辛い事や上手くいかない事をいっぱい経験したかのんちゃんが、あの時の気持ちを取り戻せたら、誰にも負けないって」
「ラブライブどころじゃない、飛び越えて世界一、いや、すみれちゃんが言うみたいに、銀河一にだってなれる! 私は、嵐千砂都は信じてる。澁谷かのんは……」
幼馴染の千砂都は昔のかのんを知っています。昔のかのんは、何事にもポジティブで難しい事にも果敢に挑戦していく存在だった。それが、「最初から出来ないなんて、そんなことあるはずないよ」というセリフにも表れています。
そんな昔の気持ちを取り戻したかのんは、今よりも更に強くなれるのではないかと千砂都は考えています。だからこそのスパルタというわけですが、同時にこれは千砂都なりの優しさでもあるというわけですね。
ここで、カットが変わってかのんと妹のありあとのシーンへと移ります。
かのん「私って、小さいころどんなだった?」
いきなり姉からこんな質問をされたら、そりゃ誰だって戸惑います。
かのんは恐らくですが、千砂都の意図に何となく気付いています。そのために、昔の自分を取り戻そうとしてこのような質問をありあに投げかけたというわけですね。
ありあ「う~ん……。熱かった五月蠅かったウザかった! 何かといえば『やれば出来る』とか、『頑張れ』とか、熱血スポーツキャスターかっての!」
と、相手が家族なだけに遠慮のない感想がありあから零れます。かのんも思わず苦笑しますが、ありあは最後にこう付け加えます。
ありあ「でも、イヤじゃなかったよ!」
⊡ 励まし合う現在と過去のかのん
いよいよ本番当日。かのんには「用事がある」と言って誤魔化した4人ですが、結局かのんのことが気になって学校に来てしまいました。
すると、千砂都にかのんから電話がかかってきます。
かのん「ちぃちゃん、ありがとうね」
「私、皆がいたから歌えてた。それで良いと思ってた。でも、それじゃダメなんだよね? 誰かを支えたり、力になるためには、ちぃちゃんが頑張ったみたいに、ひとりでやり遂げなきゃいけないんだよね?」
千砂都「うん、それにひとりじゃない」
かのん「えっ?」
千砂都「いるはずだよ。あの頃のかのんちゃんが」
「歌を全世界に響かせようとしていた、かのんちゃんが」
千砂都のその言葉を聞き、かのんは思わず振り返ります。すると、そこにはかつてのかのんの幻影がいました。
幼かのん「みんな、大丈夫だよ! 歌は怖くない! 楽しいものだよ! 歌うのはとっても楽しいものだよ!」
「みんなが頑張って練習してこられたのは、歌うことが楽しかったからでしょ?」
「だから歌おう! 楽しく!」
このセリフですが、勿論当時のかのんは合唱部の友達の緊張をほぐすために言っているわけですが、今回はその言葉が現在のかのんに対する励ましのリフレインとして響いています。つまり、現在のかのんに対して、「歌は怖くない! 楽しいものだ! だから歌おう!」と励ましているのです。
しかし、その後幼かのんはこう呟きます。
幼かのん「怖い……」
「なんでだろう……? 怖いよ……」
さて、物語前半のかのんの回想を観返せばわかりますが、この幼かのんの「怖い」以降のセリフはありませんでした。尺の都合上端折ったという見方も出来ますが、ここら辺は演出上のマジックだと筆者は見ています。
どういうことかというと、このかのんの「怖い」というセリフは本当に言ったことなのか、それとも現在のかのんの心が反映した虚構なのか、視聴者に委ねるため、わからなくしているのです。
まぁ、どっちでも良いと言えばそれまでですが、かのんの心の動きをより繊細に描くための演出だと筆者は考えています。
「そう、怖かったんだ。あの時も……」
「それでも私は……大丈夫」
「大好きなんでしょ、歌」
今度は、現在のかのんが過去のかのんへと励ましの言葉を送ります。これはもちろん、過去には起こり得なかったことです。
さて、ちょっと突飛な発想をしてしまうと、かのんは自分の心の中で過去を改変した、とも取れます。もちろんファンタジーやSF的な意味での過去改変は出来ませんが、自分の心にある過去の自分と向き合うことで、過去に起こった事の認識を変えることは出来ます。
ちょっとややこしいので、纏めてみるとこうなります。
過去のかのんが、現在のかのんに「歌は怖くない」と励ます
↓
今度は、過去のかのんが「怖い」と本音を吐露する
↓
現在のかのんが「歌が好きなんでしょ?」と励ます
↓
過去のかのんが立ち直る(心の中の過去改変)
↓
過去と現在で、気持ちの整合性が取れ、現在のかのんが立ち直る
と言った具合でしょうか。
かなり飛躍した考察だとは思いますが、この時空を超えた自我の対話というのは、実をいうと「ラブライブ! 劇場版」にもありました。なので、今回も京極監督はこういった「時間を乗り越えて心の問題を解決する」というものを描いたのではないかと筆者は思っているので、個人的には結構腑に落ちていますが、これを読んでいる皆さまは如何でしょうか……?
余談ですがラブライブ!劇場版の考察をスパスタが終わったらやろうと思っていますので、その時に「時空を超えた自我の対話」というものを、詳しく解説しようと思います。
⊡ 私のSymphony
さて、もうここまで来たらかのんが歌えないというのはありえないので、何の心配もする必要はありませんね。
かのんが歌う、「私のSymphony」ですが、これはLiellaのファーストシングル「始まりは君の空」の「私を叶える物語盤」に同時収録された曲です。まさにこの瞬間に、かのんは「私を叶えた」—つまり「歌は怖くない、楽しいものだ」という自分を体現することが出来た―ということなので、この曲が「私を叶える物語盤」に収録されていたということです。これがまさか伏線になっていたなんて、誰も予想できなかったことでしょう。
せっかくなので、「私のSymphony」と共に、今までのストーリーを振り返ってみましょう。
ずっと大切にしまってた 一番大好きなこと
どうしたら、叶えられるの?
わからなくて立ち止まっていた
チャンスはある日突然
目の前に舞い降りてきた
思う形と違っても
そっと両手を伸ばしたんだ
ぎこちなく刻む一歩が
パッと鮮やかに世界を変えてく
何が待つの?何をやれるの?
勇気出して進もう
ちっぽけな昨日までの私じゃない
叶え始めたんだ夢を
幕が上がる ここから先は
胸に描いてたステージ
出来っこないよって思ってたことも
踏み出せばほら叶うんだ
キラリ希望 響かせるの
どこまでも広がれ 私のSymphony
いつも以上にふんだんに筆者が画像を使った事からも解る通り、筆者的にはこの歌は今までのLiellaの歩みを詠った歌だと考えています。
どういった情景が浮かぶかは、視聴者次第ですが、今回は筆者の独断と偏見で、こんな感じの情景が浮かびましたよというような画像をチョイスしました。皆さんはどんな景色が浮かびましたか? コメント欄で教えて頂けると幸いです。
こうして、かのんは見事自分のトラウマを完全に克服することが出来ました。かのんは、これからより一層強いメンバーとなって活躍することは間違いないでしょう。果たしてLiellaがこれからラブライブでどのような活躍をするのか、非常に楽しみですね!
というわけで、今回はここまでです。次週はいよいよ最終回です!!
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!
それでは次回、最終回第12話「Song for All」でお会いしましょう!!
グッッバーイ!