スクールアイドル研究所

ラブライブシリーズのアニメ考察がメインです。考察という名の妄想ですが……

ラブライブ!スーパースター!! 考察 第4話「街角ギャラクシー☆彡」 かつての自分との儚い繋がり グソクムシ

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皆さん、毎週スパスタが観れる喜び嚙みしめてますか?

第4話放送は、甲子園が押してしまったために放送時間が遅れてしまいましたが、まあ無事に放送されてよかったよかった、と言った具合でしょうか。

 

それはさておき、第4話はいよいよあのギャラクシーアイドル(?)平安名すみれがメインの回となりました。今まで大きく取り扱われることはなかったものの、第3話では結果的にクーカーを助けることになるなど、妙な縁も手伝っての活躍となりました。

 

今回のポイントとしては、「平安名すみれはショウビズの世界を経験した人物である」ということがカギになります。そして4話では何かとグソクムシが出てくるのですが、このグソクムシも平安名すみれというキャラクターを語るうえで、無視できないものだと考えます

 

今回は平安名すみれとグソクムシを軸にして、第4話を深堀していきます。

 

※ここから先はラブライブ!スーパースター!!第4話のネタバレを含みます。まだ本編を視聴していない、またはネタバレが嫌だという人は決して見てはいけません。マジで責任は取りませんので、悪しからず。

※基本的にこの考察はただのおっさんの妄想です。ひとりのラブライバーの解釈であり、これが「正解」であるなどと言うつもりは全くございません。あくまで、妄想・ジョークの類として受け取って頂ければ幸いです。

 

⊡ ショウビズの世界

冒頭のシーン。いきなり平安名すみれの回想から始まります。恐らく何かしらの撮影で(ダイオウ)グソクムシの着ぐるみを被ったすみれが現場に現れます。どこか浮かない表情ですが、必死に笑顔をつくるすみれ。その笑顔はぎこちないです。

 

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カットが変わり、現在のすみれへ。UFOキャッチャーでグソクムシのぬいぐるみを取ろうとするすみれ。しかし、するりとクレーンからぬいぐるみは落ちてしまいます。

 

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このあとすみれはスカウトを名乗る女性から声を掛けられます。しかし、すみれの期待とは裏腹に、その女性は「通行人役にピッタリ!」という理由ですみれをスカウトしたのでした。

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このスカウトの女性とのやりとりのせいで、ギャグのように見えてしまうこのシーンですが、実は平安名すみれというキャラクターを語るうえでとても重要なシーンです

とりあえず、そのことはひとまず置いて、先を見てみましょう。

 

⊡ スクールアイドルは「アマチュア

前回、クーカーとしてフェスに参加したかのんと可可は、優勝こそできなかったものの、特別新人賞を受賞しました。その功績が認められ理事長から「スクールアイドル同好会」としての活動が認められました。その上、練習場所として屋上も解放してくれました。

 

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フォロワーも増え、その数はなんと2000人。それを陰で聞いていたすみれのフォロワーは8人「いいね」に至っては5回しか押されていません。すみれはつい悔しさを滲ませてしまいます。

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さて、そのフォロワー数に惹かれてしまったのか、すみれはスクールアイドルについて調べます。その時のセリフがすみれの「スクールアイドル」というものに対するスタンスを端的に表現しています

 

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「なになに、スクールアイドルとは―学校でアイドル活動を行っている……要するにアマチュアみたいなものね

 

更には前回すみれが偶然にも目撃してしまったクーカーがスクールアイドルであることをネットに上がった動画を通して知ります。

「これならっ!」とすみれはスクールアイドル同好会の門戸を叩くことを決めます。

この一連の流れを見てわかる通り、すみれはスクールアイドルをハードルの低いものとして捉え、参入することを決めています

 

思い立ったが吉日とでもいわんばかりに、すぐさますみれは同好会と合流し、入部(入会?)します。

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ラブライブ本戦の動画を見せる可可。このステージに立てば有名になり、フォロワーも増えるとのこと。現に昨年のラブライブ決勝に出たサニーパッションのフォロワー数は驚異の98000。その桁違いな数字を見せられ、すみれは俄然やる気になります。

 

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早速、屋上で練習。ステップの練習から入りますが、千砂都が見せたステップをすみれはすぐに覚えて真似してしまいます。すみれのダンスの実力は申し分ない様です。即戦力として期待され、それに気分を良くしたのかすみれは自分がショウビズの世界を経験しており、テレビにも何回か出たことがあるとメンバーに語ります。

 

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「確かに、ラブライブ優勝チームの動画も見たけど、これなら勝てるかもって」

 

このセリフからもわかる通り、言い方は悪いですがラブライブ及びスクールアイドルを「アマチュアなもの」として完璧にナメています。ショウビズ―いわゆる芸能界を経験したことで、プロとしての自信や誇りが見えてしまいます。

平安名すみれはショウビズの経験を誇りにしている。これが非常に重要です。

 

⊡ センターに拘るすみれ

メンバーも3人になったことだし、センターを決めようという話になります。すみれは「歌もダンスも一番上手い、自分がセンターに相応しい」と主張してセンターの座に就こうとしますが、千砂都含む他メンバーからは「グループを最初につくったかのんが良い」と、自然とすみれの意見は却下されます。

 

すみれ「勝つためには実力がある人が中心に立つ。それが当然なんじゃない?」

可可「ですが、センターというのはそれだけではありません。カリスマ性のような見えない力も必要です

 

「カリスマ性のような見えない力」という言葉に対し、「そんなもの、どうやって測るのだ」とすみれは反応します。そこで千砂都はクラスの生徒に協力してもらい、センターを決める選挙を行います。ここらへんは、わかりやすいAKBオマージュですね。

 

さて、その選挙でまたしてもすみれはスクールアイドルを下に見る発言をしています

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「大丈夫。オーディションやスカウトとは違う。この2人に勝てばいい。そのくらいなら」

 

しかし、結果はかのんの圧勝。すみれは0票という、見事なまでの完敗でした

この結果に納得が出来ないすみれ。

 

すみれ「どうして!? 歌だってダンスだって私、全然負けてないでしょ!?」

千砂都「それも全部、アピールタイムで皆に観てもらっての結果だよ」

可可「恐らく、オーラとか華とか。かのんの方が可可やあなたよりセンターっぽいのですよ~

 

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この可可の言葉に強いショックを覚え、「センターになれないのなら、こんなところにいる意味はない」すみれはそのまま同好会を退部してしまいます。

 

メンバーの不安や停滞を表すかのように、雨が降り出します。

 

かのんはすみれが戻ってくるならと、センターの座をすみれに譲ることを可可に提案しますが、可可は「センターはスクールアイドルの憧れ。誇りを持つべきですよ」とかのんの提案を退けます。

 

どうしてそこまですみれがセンターに拘るのか。その疑問の答えを探すかのように、かのんは偶然見つけたすみれの後を追います。

 

雨の中、竹下通りを往来するすみれ。その不自然な行動に、かのんも何をしているのか疑問に思います。そこへ、通りすがりの女性がすみれに声をかけます。一瞬嬉しそうにするすみれでしたが、それも束の間。駅への道はどこかと尋ねられると、ぶっきらぼうに駅への道を指さし、「スカウトじゃないなら話しかけないで!」と冷たく言い放ちます。

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更に後を追うかのん。神社の境内に来たすみれは溜息をつき。携帯を取り出します。幼少時代、ショウビズの世界で活躍した写真と、冒頭のグソクムシの動画が流れます

 

その動画を除いてしまうかのん。人の携帯を勝手に覗き見るのはマナー違反という当然のツッコミはさておきすみれはこのグソクムシの動画を観られてしまった事に激怒してしまいます

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(怖すぎでしょ……)

 

⊡ 自己矛盾の少女 平安名すみれ

さきほどの出来事に取り乱したすみれ。なんとかのんを監禁してしまいます。

 

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「あなたは見てはいけないものを見てしまったの。だから、忘れてもらうわ」

 

怪しい祈祷と黒魔術のようなものでかのんの記憶を消そうとするすみれ。

さて、前振りが長すぎましたが、ここからが本題です

すみれは上記のせりふのように、グソクムシの動画を「みてはいけないもの」と形容しています。しかし、そんなに見られて欲しくないものなら、嫌なものならば、なぜ自分のスマホに保存していたのでしょうか。他に取っておいた綺麗な宣材写真のようなものは保存しています。グソクムシの動画など、消してしまえばよいのです。

 

かのんは肝心の質問をすみれに投げかけます。「どうしてセンターに拘るのか」

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「私ね、小さいころからずっと、色んなオーディション受けてたの。『主役』に憧れて。子役の頃から一生懸命頑張って、でもどんなに頑張っても、いつも最後は『どうでもいいわき役』」

 

更にすみれは「アマチュアだからなんとかなると思った」と自分の甘い考えさえも吐露し、最後にこう寂しく結論付けます。

 

「私はさ、そういう星の下で生まれているの。どんなに頑張っても、真ん中で輝くことは出来ない」

 

話を少し戻しましょう。どうしてすみれはグソクムシの動画を大事にとっていたのでしょう。

冒頭のシーンを思い出してください。すみれはグソクムシのぬいぐるみを取ろうとUFOキャッチャーをします。

 

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しかし、この行動は矛盾しています。グソクムシはすみれの回想にもあったように「どうでもいいわき役」として描かれています。お金を出してまで、必死こいて取るものではないはずです。

 

しかし、そんな「どうでもいいわき役」がすみれにとっては、かつて自分がショウビズにいたことの証でもあるのです。つまり言ってみれば、すみれにとってグソクムシはショウビズの世界との結びつきを象徴するものであり、だからこそ冒頭で、その繋がりをメタファーとして取り戻そうとしているのです。

 

すみれにとってグソクムシは、自分が誇りにしている「ショウビズでの経験」であると同時に、他人には「見せたくないもの」なわけです。

 

こういった非常に複雑なパラドックスの中で、平安名すみれは生きていると言えます。

 

⊡ 可可とすみれ、相反する2人

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ことの経緯を説明すると、可可はすみれの態度が「スクールアイドルに対する冒涜と侮辱だ」と憤ってしまいます。この可可のセリフは、一部視聴者の感情を代弁しているとも言えます。

 

どうしても怒りを抑えきれない可可は、すみれを見つけるや否や、お昼休みに屋上へ来いと焚きつけます。

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「どれだけスクールアイドルが真剣にステージに挑んでいると思っているのですか! それをスクールアイドルなら、なんとかなるなどと!」

少しムキになったすみれは、可可がやっとの思いで会得したダンスを、いとも簡単に本人の目の前で披露してしまいます。

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「ショウビジネスの世界を甘く見ないで。『これくらい』は出来るの。ただそれでも私にスポットは当たらない。こんな『アマチュア』の世界でもね……」

見事に相反する2人をざっと見てみましょう。すみれは一貫してスクールアイドルを「アマチュア」であると下に見ています。ラブライブの世界であまり語られることはありませんが、プロとアマの線引きはこの世界にも確かに存在します。実際、ラブライブ!」ではμ'sのライバルユニット、「A-RISE」は卒業後にプロの道へと進むことを穂乃果に告げています。

 

すみれの「スクールアイドルはアマチュア」という指摘は、確かにカチンとくるものがありますが事実なわけです。しかし、プロになる者はアマチュアだろうと関係なく、真剣に物事に向き合い努力し、実績を上げます。その結果、プロになるというオファーをいただくわけです。「アマチュアだから簡単に出来る」と切り捨てているすみれには真剣さが足りません。そういった姿勢では、「オーラ」や「華」といった見えないものは宿りません。

 

一方で可可はどうでしょうか。すみれに足りない「真剣さ」は痛いほど伝わってきますが、悲しいかな彼女の実力はすみれが披露した「これくらい」がやっと出来る、といったものです

 

「真剣さ」が足りないすみれ。「実力」が無い可可。この2人は今後も対照的に描かれるのではないでしょうか。

 

⊡ 「待つ」のではなく「奪え」

上記に記したように、現在の同好会は現実として実力のあるメンバーが足りていません。つまり、即戦力のすみれは感情や態度はさておき、やはり必要な人材であることは間違いありません。そこでかのんが取った行動は、すみれを「スカウト」することでした。

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このかのんの行動は、すみれが恐らく雨の日でもスカウトされるために、毎日竹下通りを歩いているだろうと察しての行動です。だからこそ、雨の中でもすみれを見つけることが出来ました。中々感慨深いものがあります。

 

更に、かのんはすみれに決定的に足りない本質のようなものを投げかけます。

 

「センターが欲しかったら、奪いに来てよ! すみれちゃんを見て、わたし思った。センターやってみようって。だから奪いに来てよ! 競い合えば、グループもきっと良くなるから」

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すみれの行動を思い出してみましょう。すみれがショウビズの世界に戻るためにしている行動は、「スカウトされる」という「待ち」なわけです。芸能界の世界は厳しく、スポットライトを浴びる人達に用意されている席は限られています。その席を誰かから譲ってもらうのを「待つ」のではなく「奪え」とかのんは言っています。こういった、「したたかさ」も、プロアマ問わず競争を勝ち抜く上では必要なのです。

 

「アマチュアに負けるわけない」と強気のすみれですが、それにも負けずかのんは「じゃあ、試してみてよ」と挑発します。すみれの事を理解した、かのんだからこそ出来る勧誘の仕方ですね。

 

「いくら出すったら、出すのよ。スカウトって言うからには、当然契約金は必要よ」

 

契約金をせがまれたかのんは、すみれの実家の神社のお守りを渡します。

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今まで身に付けていたお守り。その効果はもう証明済みだと怪訝そうに見つめるすみれですが、雨が止みます。

 

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ラブライブシリーズに限らず、雨は不安や停滞としてのメタファーとして表現されることが多いです。雨は、メンバーの不安を払拭するかのように止みました。すみれが加わったことで、メンバーに希望の光が差し始めました。そのことを確信したかのようにかのんは、こう言います

 

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「諦めない限り、夢が待っているのは、まだずっと先かもしれないんだから」

 

⊡ 葉月恋と季節の移り変わり

さて、またまた長くなってしまいました。本当はもっともっと触れたいこともあるのですが、さすがにマジで長すぎなので、最後に葉月恋と季節の移り変わりについてちょびっと考察していきましょう。

 

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物語序盤、かのんは恋に対し、「学校の力になりたい」と意気込みますが、その思いとは裏腹に恋はこう言います。

 

「だったら、スクールアイドル以外の活動にしてください。スクールアイドルじゃなければ、いくらでも応援してあげられますから」

 

やはりかなり引っかかるセリフです。「スクールアイドル」だけが応援の対象外なのは一体なぜなのでしょうか。第2話の時点での考察通り、学校の「価値」を下げることにやけに敏感です。やはり、そこにはスクールアイドルと学校が求める音楽への「品格」が関わっているようにも思えますが……この時点ではまだなんとも言えません。はたしてどうなっていくのでしょうか。

 

物語終盤には、季節が移り変わり夏になります。

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なんというか……ちょっと早くないですか?

ラブライブシリーズは今のところ、メンバーの一年を通した物語だったわけですが、この時間の流れの速さを見るに、ひょっとしたらスパスタに関しては例外になるかもしれません。新設校でメンバーが全員一年生であるということを考慮すると、今作ではシリーズ初のメンバー3年間を描いた物語になるかもしれません

 

ッてなところですかね……

 

 

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます!

それでは次回、第5話「パッションアイランド」にてお会いしましょう!